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頸肩腕痛と神経圧迫の鑑別・診察・弁証と国試ポイントけいけんわんつうとしんけいあっぱく

このページは頸肩腕痛のうち、神経(および血管)が圧迫されて起こるタイプ――頸椎症・頸椎椎間板ヘルニア・胸郭出口症候群――にしぼって扱います。首・肩・腕から手指にかけての痛みやしびれは、圧迫の場所(神経根か脊髄か腕神経叢か)によって症状の出方が変わるのが最大のポイントです。レッドフラッグ(外傷歴・体重減少・安静時痛・発熱・筋力低下)を先に除外したうえで、誘発テストと東洋医学的弁証を組み合わせて考えます。

頸肩腕痛と神経圧迫|頸肩腕痛と神経圧迫 1
読み方けいけんわんつうとしんけいあっぱく
定義首・肩・腕から手指にかけて痛みやしびれが出る頸肩腕痛のうち、神経根・脊髄・腕神経叢などが圧迫されて生じるもの(肩こりも含む広い概念の一部)
代表的な疾患頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群
主な症状痛み(ズキズキ)、しびれ(ピリピリ)、つっぱり感、筋力低下、手指の細かい動きが悪い、冷感、色調変化
誘発テストスパーリングテスト(神経根の圧迫を評価)、ジャクソンテスト(神経根症状の誘発を確認)
身体診察頸部の可動域と痛みの有無、上肢の腱反射、皮膚の感覚、上肢の筋力、歩行
レッドフラッグ大きな外傷歴・体重減少・安静時痛・発熱・筋力低下 → 骨折・腫瘍・感染症・脊髄障害を疑い早めに受診
東洋医学の弁証外邪(風・寒・湿・熱)=経絡の阻滞、血瘀=血の流れが滞る、痰湿=重くてだるい、気血不足=栄養不足
国試での狙われ方神経根症と脊髄症の症状の違い、胸郭出口症候群の圧迫部位、誘発テスト名と目的、痺証の分類

頸肩腕痛とは──どこまでを含むか

頸肩腕痛は、首・肩・腕から手指にかけての痛みやしびれを指す訴えで、肩こりも含む広い概念です。姿勢不良・デスクワーク・スマホ操作といった日常動作が背景になります。

このページで扱うのは、そのなかでも神経が圧迫されて症状が出るタイプです。症状を聞くときは場所・強さ・性質・発症状況を確認します。

痛みは場所・強さ・性質・発症状況を細かく確認する
痛みは場所・強さ・性質・発症状況を細かく確認する

まずレッドフラッグを除外する

鍼灸の適応を判断する前に、骨折・腫瘍・感染症・脊髄障害といった重篤な原因を示すサイン(レッドフラッグ)がないかを必ず確認します。放置すると重症化する可能性があり、早期発見・早期治療がとても重要です。

当てはまるサインがあれば施術に入る前に早めに受診をすすめます。

レッドフラッグ疑われる背景
大きな外傷歴骨折・脱臼など
体重減少腫瘍性病変
安静時痛腫瘍・感染症
発熱感染症
筋力低下脊髄障害・神経障害の進行
骨折・腫瘍・感染症・脊髄障害を示す危険なサイン
骨折・腫瘍・感染症・脊髄障害を示す危険なサイン

身体診察のポイント(頸部の動き・神経所見・誘発テスト)

観察・触診・検査を組み合わせて原因を見極めます。誘発テストは神経根の圧迫を評価する中心的な手技です。

診察項目何を診るか
頸部の動き可動域と痛みの有無を確認
腱反射上肢の腱反射をチェック
感覚皮膚の感覚を確認
スパーリングテスト神経根の圧迫を評価
ジャクソンテスト神経根症状の誘発を確認
筋力上肢の筋力低下をチェック
歩行神経の影響を総合的に評価
頸部の動き・腱反射・感覚・誘発テスト・筋力・歩行
頸部の動き・腱反射・感覚・誘発テスト・筋力・歩行

神経を圧迫する代表疾患の鑑別

圧迫される場所によって症状が違います。神経根症は片側の上肢痛としびれ脊髄症は巧緻運動障害と歩行障害という対比が最重要です。

疾患圧迫される場所特徴的な症状
頸椎症加齢変性・骨棘形成/椎間板の変性による神経の圧迫首の痛み、肩甲間部痛、しびれ、筋力低下、手指の細かい動きが悪い
頸椎椎間板ヘルニア(神経根症)突出した椎間板による神経根の圧迫片側の上肢痛、しびれ
頸椎椎間板ヘルニア(脊髄症)脊髄の圧迫巧緻運動障害、歩行障害
胸郭出口症候群斜角筋群・鎖骨・第1肋骨での腕神経叢/鎖骨下動脈・静脈の圧迫しびれ、痛み、脱力感、冷感、色調変化、腕を上げると悪化
頸肩腕症候群明らかな圧迫病変によらない(姿勢・反復作業・ストレスが関与)肩こり、だるさ、しびれ
突出した椎間板が神経を圧迫する:神経根症と脊髄症
突出した椎間板が神経を圧迫する:神経根症と脊髄症

胸郭出口症候群の解剖をおさえる

胸郭出口症候群は神経や血管の圧迫で起こるのがポイントです。スライドに示される構造は次のとおりです。

神経だけでなく血管も圧迫されるため、しびれ・痛み・脱力感に冷感・色調変化が加わります。腕を上げると悪化する点が問診上の手がかりです。

斜角筋群・鎖骨・第1肋骨と腕神経叢・鎖骨下動静脈
斜角筋群・鎖骨・第1肋骨と腕神経叢・鎖骨下動静脈

東洋医学でみる頸肩腕痛(弁証)

東洋医学では、体質・体調・環境を総合的に判断して原因を見極めます。スライドでは外邪・血瘀・痰湿・気血不足の4つが挙げられ、それぞれ痺証と結びつけて示されています。

※配穴はこのスライドには示されていないため、ここでは弁証の整理にとどめます。

弁証病理対応する痺証
外邪(風・寒・湿・熱)経絡の阻滞行痺・痛痺・着痺・熱痺
血瘀血の流れが滞る痛痺
痰湿重くてだるい着痺
気血不足栄養不足行痺
外邪・血瘀・痰湿・気血不足と痺証の対応
外邪・血瘀・痰湿・気血不足と痺証の対応
国試ポイント
① 神経根症=片側の上肢痛・しびれ/脊髄症=巧緻運動障害・歩行障害。この対比が最頻出。
② スパーリングテストは神経根の圧迫を評価、ジャクソンテストは神経根症状の誘発を確認する。
③ 胸郭出口症候群の圧迫部位は斜角筋群・鎖骨・第1肋骨、圧迫されるのは腕神経叢と鎖骨下動脈・静脈。腕を上げると悪化する。
④ 冷感・色調変化があれば血管圧迫(胸郭出口症候群)を疑う。純粋な神経根症では出にくい。
⑤ 頸椎症は加齢による変性・骨棘形成と椎間板の変性が背景。脊髄症への進行に注意する。
⑥ レッドフラッグ(大きな外傷歴・体重減少・安静時痛・発熱・筋力低下)があれば骨折・腫瘍・感染症・脊髄障害を疑い受診をすすめる。
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