感覚は大きく表在感覚・深部感覚・複合感覚(識別感覚)の3つに分類されます。皮膚表面で感じるのが表在感覚(触覚・痛覚・温度覚)、筋や関節など深部で感じるのが深部感覚(位置覚・振動覚・深部痛覚)、複数の情報を統合して識別するのが複合感覚(二点識別覚・皮膚書字覚・立体認知・局所覚)です。痛温覚は外側脊髄視床路、深部感覚は後索内側毛帯路を上行するという伝導路の違いが、感覚障害のパターンと病変部位の推定に直結します。
| 読み方 | かんかくのぶんるい |
|---|---|
| 分類 | ①表在感覚 ②深部感覚 ③複合感覚(識別感覚)の3種類 |
| 表在感覚 | 触覚・痛覚・温度覚(皮膚など表面で感じる感覚) |
| 深部感覚 | 位置覚・振動覚・深部痛覚(筋・腱・関節など深い部分で感じる感覚) |
| 複合感覚 | 二点識別覚・皮膚書字覚・立体認知・局所覚(頭頂葉で統合・識別) |
| 伝導路 | 痛温覚=外側脊髄視床路(脊髄後角で交叉し反対側を上行)/深部感覚=後索内側毛帯路(後索を上行し延髄で交叉) |
| 主な検査器具 | 脱脂綿・筆・紙片(触覚)、安全ピン(痛覚)、温水40〜45℃・冷水5〜10℃(温度覚)、128Hz音叉(振動覚)、コンパス(二点識別覚) |
| 異常所見 | 鈍麻(感じ方が鈍い)・脱失(まったく感じない)・過敏(わずかな刺激でも強く感じる) |
| 臨床的意義 | 感覚障害の分布・パターンから病変部位(大脳皮質・視床・脊髄・末梢神経)と神経根高位を推定する |
感覚検査を理解する第一歩は、感覚が3種類に分類されることを押さえることです。どの感覚が障害されているかで、障害されている伝導路や病変部位が推定できます。
伝導路も対で覚えます。痛温覚は外側脊髄視床路(脊髄後角で交叉して反対側を上行)、深部感覚は後索内側毛帯路(同側の後索を上行し延髄で交叉)です。この交叉部位の違いが、後述するブラウン・セカール症候群の「感覚解離」を生みます。
| 分類 | 含まれる感覚 | 感じる部位 | 伝導路 |
|---|---|---|---|
| 表在感覚 | 触覚・痛覚・温度覚 | 皮膚などの表面 | 痛温覚=外側脊髄視床路(脊髄後角で交叉) |
| 深部感覚 | 位置覚・振動覚・深部痛覚 | 筋・腱・関節などの深部 | 後索内側毛帯路(後索上行→延髄で交叉) |
| 複合感覚(識別感覚) | 二点識別覚・皮膚書字覚・立体認知・局所覚 | 情報の統合(大脳皮質) | 頭頂葉で統合・識別 |
表在感覚の検査はいずれも患者に閉眼してもらい、左右・上下をランダムに刺激して左右差を比較するのが原則です。
いずれの検査でも異常所見は鈍麻・脱失・過敏の3パターンに整理されます。
| 検査 | 方法・器具 | 判定させる内容 | 異常所見 |
|---|---|---|---|
| 触覚検査 | 脱脂綿・筆・紙片で軽く触れる | 触れた部位を答えさせる | 触覚鈍麻・触覚脱失・触覚過敏 |
| 痛覚検査 | 安全ピンで軽く刺激 | 鋭い/鈍いを判定 | 痛覚鈍麻・痛覚脱失・痛覚過敏 |
| 温度覚検査 | 温水40〜45℃・冷水5〜10℃の試験管を皮膚へ当てる | 温かい/冷たい/感じない | 温度覚鈍麻・温度覚脱失・温度覚過敏 |
深部感覚検査は位置覚・振動覚・深部痛覚の3つをチェックします。位置覚と振動覚は後索路の評価に重要で、必ず左右差を比較して判定します。
複合感覚検査は、表在感覚・深部感覚が保たれていることが前提となり、主に頭頂葉の機能評価に用いられます。
| 感覚 | 検査法 | 評価対象・ポイント |
|---|---|---|
| 位置覚 | 指趾を上下に動かし方向を答えさせる(閉眼) | 後索路の評価に重要 |
| 振動覚 | 128Hz音叉を内果などの骨突出部に当てる | 後索路の評価に重要。左右差を比較 |
| 深部痛覚 | 筋・腱を強く圧迫する | 深部の痛覚を評価 |
| 二点識別覚 | 同時に2点刺激 | 頭頂葉機能の評価 |
| 皮膚書字覚 | 手掌に数字を書く | 頭頂葉機能の評価 |
| 立体認知 | 鍵・硬貨を触らせる | 頭頂葉機能の評価 |
| 局所覚 | 触られた場所を答えさせる | 頭頂葉機能の評価 |
デルマトーム(皮膚分節)は、1本の脊髄神経根が支配する皮膚領域のこと。感覚障害の分布から神経根障害の高位を推定できるため、代表ポイントは丸暗記が必須です。
| 高位 | 代表的な支配部位 |
|---|---|
| C6 | 母指 |
| C7 | 中指 |
| C8 | 小指 |
| T4 | 乳頭(第4肋間) |
| T10 | 臍 |
| L4 | 内果(内くるぶし) |
| L5 | 母趾(親指のつけ根〜母趾) |
| S1 | 外果(外くるぶし) |
ブラウン・セカール症候群は脊髄半側障害で起こり、感覚解離が最大の特徴です。伝導路の交叉部位の違い(痛温覚は脊髄で交叉、深部感覚は延髄で交叉)を思い出せば、左右で症状が分かれる理由が理解できます。
この「同側は深部感覚、反対側は痛温覚」という食い違いが感覚解離です。
| 側 | 障害される感覚・運動 |
|---|---|
| 障害側(同側) | 深部感覚消失(振動覚・位置覚)/痙性麻痺(筋緊張亢進・腱反射亢進・バビンスキー反射陽性) |
| 反対側 | 痛覚・温度覚の消失 |
感覚障害は病変部位によって出方が違うため、分布を見れば障害部位が絞り込めます。国試ではこの対応関係がそのまま出題されます。
| 病変部位 | 感覚障害のパターン | 特徴 |
|---|---|---|
| 大脳皮質 | 複合感覚障害 | 識別感覚が障害される |
| 視床 | 反対側半身の感覚障害 | 左右どちらかの半身すべてに出る |
| 脊髄横断 | 障害高位以下の感覚消失 | 障害高位より下のすべてが消失 |
| 末梢神経 | 支配領域の感覚障害 | 神経の支配領域に限局して出る |