アフロの手アフロの手

ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)の病態・症状・診断・治療

ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)は、ジャンプのくり返しによって膝蓋靱帯に反復ストレスがかかって生じるスポーツ障害(オーバーユース障害)です。バレーボールやバスケットボールの選手に多く、身長が急に伸びる15〜18歳の成長期に起こりやすいのが特徴。膝蓋骨の下(下極)の痛みが主症状で、関節内には大きな異常を認めません。

ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)|ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎) 1
読み方ジャンパーひざ(しつがいじんたいえん)
別名膝蓋靱帯炎
障害部位膝蓋靱帯(膝蓋骨と脛骨をつなぐ)
原因ジャンプのくり返しによる膝蓋靱帯への反復ストレス(オーバーユース)
好発スポーツバレーボール・バスケットボール(陸上・サッカー・野球でも起こる)
好発年齢15〜18歳(成長期の選手)
主症状膝蓋骨の下(下極)の痛み、圧痛、腫れ。膝蓋骨上極に出ることもある
初期の特徴運動後に痛みやすい。準備運動で軽くなることもある
関節内所見大きな異常なし
診断膝の曲げ伸ばし(動作チェック)、X線、MRI
治療安静・ストレッチ・筋トレ(大腿四頭筋)。アイシング・膝蓋バンドも有効

ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)とは

ジャンパー膝は、正式には膝蓋靱帯炎(しつがいじんたいえん)と呼ばれるスポーツ障害です。名前のとおりジャンプのしすぎで起こり、膝蓋骨(膝のお皿)と脛骨をつなぐ膝蓋靱帯に炎症・変性が生じます。

ジャンパー膝=膝蓋靱帯炎。ジャンプのしすぎで膝蓋靱帯が傷む
ジャンパー膝=膝蓋靱帯炎。ジャンプのしすぎで膝蓋靱帯が傷む

好発スポーツ・好発年齢

ジャンプ動作・着地動作を大量にくり返す競技に多く発生します。バレーボールバスケットボールが代表的で、陸上・サッカー・野球でも起こります。

年齢では15〜18歳の成長期の選手に多いのがポイントです。ジャンプ回数が多いことに加え、成長期は膝に負担が集中しやすい時期のため、要注意とされます。

項目内容
特に多いスポーツバレーボール、バスケットボール
その他に起こるスポーツ陸上、サッカー、野球
好発年齢15〜18歳(成長期の選手)
起こりやすい理由ジャンプが多い/ひざに負担が集中する/成長期である
バレー・バスケに多い。陸上・サッカー・野球でも起こる
バレー・バスケに多い。陸上・サッカー・野球でも起こる

原因 ― 膝蓋靱帯へのくり返しストレス

ジャンパー膝の本質は膝蓋靱帯への「くり返しストレス」です。ジャンプと着地のたびに、大腿四頭筋の強い牽引力が膝蓋骨を介して膝蓋靱帯に伝わり、膝蓋靱帯は上下方向に引っ張られます。これが何度も反復されることで靱帯が損傷し、痛みが生じます。

膝蓋骨と脛骨をつなぐ膝蓋靱帯に、ジャンプのたび上下の牽引ストレスがかかる
膝蓋骨と脛骨をつなぐ膝蓋靱帯に、ジャンプのたび上下の牽引ストレスがかかる

成長期が関係する理由

成長期にジャンパー膝が多いのは、急激な身長の増加に対して筋肉・腱の成長が追いつかないためです。骨が先に伸びると、相対的に筋・腱がタイトになり、膝蓋靱帯にかかる張力が増してしまいます。

急な身長増加に筋肉・腱の成長が追いつかず、膝に負担が集中する
急な身長増加に筋肉・腱の成長が追いつかず、膝に負担が集中する

主な症状 ― 膝蓋骨の下が痛い

もっとも典型的なのは膝蓋骨の下(下極)の痛みです。押すと痛む圧痛があり、腫れを伴うこともあります。

また、膝蓋骨の上極(上側)に症状が出ることもあります。いずれの場合も関節内には大きな異常を認めないのがジャンパー膝の特徴で、正常な膝と関節内の状態はほぼ変わりません。

症状内容
主症状膝蓋骨の下(下極)の痛み
圧痛膝蓋骨下極を押すと痛む
腫れ認めることがある
上極の症状膝蓋骨の上極にも症状が出ることがある
関節内大きな異常なし(正常膝とほぼ同じ)
膝蓋骨の下が痛む。圧痛・腫れを伴うこともある
膝蓋骨の下が痛む。圧痛・腫れを伴うこともある

初期の痛み方 ― 運動後に痛む

初期は運動後に痛みが出やすいのが特徴です。痛みの経過を時間軸で追うと、ジャンパー膝らしいパターンが見えてきます。

タイミング痛みの様子
運動前元気にプレーできる(痛みを感じにくい)
準備運動中痛みが軽くなることもある
運動後膝のお皿の下がズキッと痛む
運動前は平気→準備運動で軽くなることも→運動後にお皿の下が痛む
運動前は平気→準備運動で軽くなることも→運動後にお皿の下が痛む

診断

診断は膝の曲げ伸ばし(動作チェック)画像検査で行います。膝蓋骨下極の圧痛部位と、動作時の痛みの再現がポイントです。

方法目的
曲げ伸ばし(動作チェック)膝の動きで痛みが出るかを確認する
X線(レントゲン)骨の異常の有無を確認する
MRI痛みの原因(膝蓋靱帯の状態)を確認する
曲げ伸ばし・X線・MRIで確認する
曲げ伸ばし・X線・MRIで確認する

治療 ― 安静・ストレッチ・筋トレが柱

治療の基本は安静・ストレッチ・筋トレの3本柱で、これにアイシング膝蓋バンドを組み合わせます。痛みを悪化させないことが回復への第一歩であり、継続的に取り組むことが再発予防につながります。

治療ねらい
安静痛みを悪化させない(回復への第一歩)
ストレッチ柔軟性を高めて再発を予防する
アイシング炎症を抑えて痛みをやわらげる
筋トレ大腿四頭筋を強化して膝をサポートする
膝蓋バンド膝蓋靱帯への負担を軽減する
安静・ストレッチ・アイシング・筋トレ+膝蓋バンドで負担を軽減
安静・ストレッチ・アイシング・筋トレ+膝蓋バンドで負担を軽減
国試ポイント
① ジャンパー膝=膝蓋靱帯炎。ジャンプのくり返しによる膝蓋靱帯へのオーバーユース障害。
② 好発スポーツはバレーボール・バスケットボール。好発年齢は15〜18歳の成長期。
③ 主症状は膝蓋骨下極の痛み・圧痛。膝蓋骨上極に出ることもあり、関節内に大きな異常はない。
④ 初期は運動後に痛みが出やすい(運動前は平気、準備運動で軽減することも)。
⑤ 治療は安静・ストレッチ・大腿四頭筋の筋トレが基本。アイシング・膝蓋バンドも有効。
📖 ジャンパー膝(膝蓋靱帯炎)をスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習