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随意運動と不随意運動(定義・上位中枢と随意性・運動発現の3つの系)ずいいうんどうとふずいいうんどう

随意運動とは自分の意思で「する・しない」を決めて行う目的のある運動で、刺激によって決まった反応が自動的に生じる反射運動と対比されます。ポイントは上位中枢が関与するほど随意性が増すこと、そして随意運動の発現には動機づけの系・プログラム作成の系・実行しながら調節する系の3つが順に働くことです。逆に意思で抑えられない運動が不随意運動で、パーキンソン病の安静時振戦がその代表例です。

随意運動と不随意運動|随意運動と不随意運動 1
読み方ずいいうんどうとふずいいうんどう
定義随意運動=自分の意思で開始・持続・中止できる目的のある運動/不随意運動=意思と無関係に生じ止められない運動
対比される概念反射運動(刺激により決まった反応が自動的に起こる)
随意運動の特徴外からの刺激がなくても自分の意思で開始できる/『する・しない』を選択できる
随意性の階層脊髄(反射中枢)→脳幹→基底核・小脳→運動前野(連合野)→大脳皮質(高次中枢)。上位ほど随意性が増す
発現の3つの系①動機づけの系 ②運動プログラム作成の系 ③実行しながら調節する系
関与部位動機づけ=脳幹網様体・大脳辺縁系/プログラム=皮質連合野・基底核・小脳
制御様式フィードフォワード制御(開ループ・速い運動)/フィードバック制御(閉ループ・ゆっくりした運動)
不随意運動の代表例パーキンソン病の安静時振戦(ほかに舞踏運動、ミオクローヌス、チックなど)
国試での狙われ方随意運動と反射の相違点、随意性と上位中枢の関係、3つの系と担当部位、フィードフォワード/フィードバックの使い分け、振戦の性状

随意運動とは?反射運動との違い

随意運動は反射運動と対比される概念です。両者の最大の違いは「きっかけ」にあります。反射運動は刺激(膝蓋腱をたたく等)によって決まった反応が自動的に生じるのに対し、随意運動は自分の意思がスタートの合図となります。

重要なのは、随意運動は外からの刺激が何もない状態でも起こりうるという点です。「よし、歩こう」と自分で決めて動き出せるのが随意運動の本質で、ここが反射との決定的な差になります。さらに随意運動には意思による選択が関与します。手を挙げる(する)ことも、挙げないでおく(しない)ことも、どちらも自分の意思で選んだ随意的な行動です。

項目反射運動随意運動
きっかけ外部からの刺激自分の意思
刺激がない時起こらない起こりうる
反応の内容刺激ごとに決まっている目的に応じて選べる
する・しないの選択できないできる(抑制も随意)
主な中枢脊髄・脳幹大脳皮質などの上位中枢
膝蓋腱反射、熱いものから手を引っ込める手を挙げる、歩く、歯をみがく
随意運動は反射運動と対比される(きっかけの違い)
随意運動は反射運動と対比される(きっかけの違い)

上位中枢が関与するほど随意性が増す

反射と随意運動はきれいに二分されるものではなく、より上位の中枢が関与するほど随意性が加わっていくという連続的な関係にあります。脊髄レベルの単純な反射から、大脳皮質が関与する「考えて決めて行う行動」まで、階層が上がるほど自分の意思でコントロールできる運動になります。

階層(下位→上位)中枢はたらき随意性
1脊髄(反射中枢)刺激にすばやく反応するシンプルな反射を起こす低い
2脳幹姿勢や眼球運動などの自動的な制御を行うやや低い
3基底核・小脳動きをなめらかにする、バランスや調整を行う中間
4運動前野(連合野)動きを組み立てる、タイミングや順番を決める高い
5大脳皮質(高次中枢)考える・判断する・計画する、自分の意思で行動を決める最も高い
上位中枢が関わるほど随意性が加わる(階層構造)
上位中枢が関わるほど随意性が加わる(階層構造)

随意運動の発現に関与する3つの系

随意運動は「動機づけ → プログラム作成 → 実行・調節」という流れで生まれます。国試ではこの3つの系と、それぞれを担当する脳部位の組み合わせが問われます。

はたらき主に関与する部位
①動機づけの系やる気・動機を生み出す脳幹網様体、大脳辺縁系
②プログラム作成の系運動の計画(設計図)をつくる皮質連合野、基底核、小脳
③実行・調節の系動きながら調整・修正する運動野、小脳、感覚フィードバック系
随意運動の発現には3つの系が関与する
随意運動の発現には3つの系が関与する

動機づけとプログラム作成を担う脳部位

動機づけ(やる気)を支えるのは脳幹網様体と大脳辺縁系の2つです。脳幹網様体は脳全体を覚醒させて集中力や行動エネルギーを引き出し、辺縁系は喜びや楽しさといった感情を生んでやる気を高めます。リハビリテーションで「目標設定」「小さな成功体験」「楽しさ」が重視されるのは、この動機づけの仕組みに直接はたらきかけるためです。

プログラム作成では皮質連合野・基底核・小脳の3者が計画を立て、その計画に基づいて実行されることでスムーズな運動が実現します。基底核が障害されると運動の開始が困難になり(パーキンソン病の無動・すくみ足)、小脳が障害されると運動が滑らかさと正確さを失う(協調運動障害)と結びつけて覚えると理解しやすくなります。

部位役割障害されると
脳幹網様体覚醒・集中力・行動エネルギー意欲低下、覚醒レベル低下
大脳辺縁系感情・やる気の源無関心・意欲障害
皮質連合野運動の計画立案運動企図の障害、失行
基底核動きの選択・開始無動、寡動、筋固縮、振戦
小脳動きの調整・なめらかさ協調運動障害、測定障害、振戦(企図振戦)
運動プログラムの作成には皮質連合野・基底核・小脳が関わる
運動プログラムの作成には皮質連合野・基底核・小脳が関わる

フィードフォワード制御とフィードバック制御

随意運動の実行と調節には、2つの制御様式が使い分けられます。

この2つがうまく連携することで、なめらかで正確な動きが実現します。国試では「速い運動=フィードフォワード(開ループ)」「遅い運動=フィードバック(閉ループ)」の対応が引っかけとして狙われます。

項目フィードフォワード制御フィードバック制御
別名開ループ制御閉ループ制御
方式事前に予測して一気に実行動きながら確認して修正
適した運動速い運動(弾道的運動)ゆっくりした運動・正確さ重視
感覚情報の利用運動中は利用しない視覚・体性感覚で常時修正
ボールを投げる、ジャンプする字を書く、ゆっくり手を伸ばす
フィードフォワード制御(開ループ)とフィードバック制御(閉ループ)
フィードフォワード制御(開ループ)とフィードバック制御(閉ループ)

不随意運動とパーキンソン病の振戦

不随意運動とは自分の意思で止めにくい、あるいは止められない運動です。本人の意思とは無関係に起こり、止めようとしても止められないのが特徴で、本人のせいではないという理解と支援が臨床上とても重要です。

不随意運動の代表例がパーキンソン病の振戦です。本人の意思とは無関係に手のふるえが出現し、安静時に手がふるえる(安静時振戦)ことが特徴です。小脳障害でみられる企図振戦(目標に近づくほど強くなる)とは逆の性状であり、両者の鑑別は国試頻出です。

振戦の種類出現するとき主な病変部位代表疾患
安静時振戦安静時に強く、動作で軽減基底核(黒質-線条体系)パーキンソン病
企図振戦目標に近づくほど増強小脳小脳失調、多発性硬化症
姿勢時振戦一定の姿勢を保つとき多因子本態性振戦
パーキンソン病の振戦は不随意運動の代表例(安静時振戦)
パーキンソン病の振戦は不随意運動の代表例(安静時振戦)
国試ポイント
① 随意運動は反射運動と対比される。反射=刺激で決まった反応、随意=自分の意思が開始の合図。刺激がなくても起こりうるのが随意運動。
② 「しない」を選ぶことも随意運動。抑制・中止できることが随意性の証拠である点が引っかけになる。
③ 随意性の階層は 脊髄(反射中枢)→脳幹→基底核・小脳→運動前野→大脳皮質。上位中枢が関与するほど随意性が増す。
④ 随意運動の発現は3つの系:①動機づけ(脳幹網様体・大脳辺縁系)②プログラム作成(皮質連合野・基底核・小脳)③実行・調節。担当部位の組み合わせが頻出。
⑤ 速い運動=フィードフォワード(開ループ)、ゆっくりした運動=フィードバック(閉ループ)。逆に覚えていないか要確認。
⑥ 不随意運動は意思で抑制できない。パーキンソン病は安静時振戦(基底核障害)、小脳障害は企図振戦で、出現するタイミングが正反対。
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