平衡反応(へいこうはんのう)とは、体が傾いたり押されたりして重心が支持基底面から外れそうになったとき、無意識に姿勢を立て直してバランスを保つ自動的な反応のことです。体性感覚・視覚・前庭感覚の3つの入力を小脳が統合し、体幹・四肢の運動として出力します。国試では傾斜反応・パラシュート反応・リフト反応・防御反応それぞれの誘発方法と出現肢位が狙われます。
| 読み方 | へいこうはんのう(balance reaction / equilibrium reaction) |
|---|---|
| 定義 | 重心が支持基底面から外れそうなとき、姿勢を自動的に立て直してバランスを保つ反応 |
| 必要な感覚入力 | 体性感覚(固有感覚)・視覚・前庭感覚の3つ |
| 統合中枢 | 小脳(感覚入力を統合し運動を調整する司令塔) |
| 主な種類 | 傾斜反応・パラシュート反応・リフト反応・防御反応・座位での防御反応・眼球運動と頭部の協調 |
| 出現の肢位 | 背臥位→腹臥位→座位→四つ這い→膝立ち→立位の順に発達 |
| 消失・障害されると | 立ち直りができず転倒しやすくなる(転倒予防評価の要) |
| 国試での狙われ方 | 各反応の刺激と反応の組合せ、関与する3感覚、小脳の役割、転倒予防との関連 |
平衡反応とは、外力や支持面の変化によって重心(重心線)が支持基底面から外れそうになったときに、無意識のうちに姿勢を修正してバランスを保つ自動的な反応です。随意運動ではなく、姿勢反射のなかでも最も高次に位置づけられます。
つまり平衡反応は「①重心を戻す → ②支持基底面を広げる → ③手をついて守る」という三段構えで身体を守るしくみです。
平衡反応が正しく働くには、体性感覚・視覚・前庭感覚の3つの感覚入力がそろっている必要があります。これらは小脳で統合され、姿勢を安定させる運動指令となります。
| 感覚 | 受容器・経路 | 得られる情報 | 障害時の特徴 |
|---|---|---|---|
| 体性感覚(固有感覚) | 筋紡錘・腱紡錘・関節受容器 → 脊髄後索 | 筋や関節の位置・動き、足底からの圧情報 | 閉眼で著明に不安定(ロンベルグ徴候陽性) |
| 視覚 | 網膜 → 視覚路 | 周囲との位置関係、垂直・水平の基準 | 暗所・閉眼で動揺増大 |
| 前庭感覚 | 半規管(回転)・耳石器(傾き・直線加速度) | 頭部の傾きと回転・加速度 | めまい、眼振、平衡障害 |
国試では「どんな刺激で、どこがどう動くか」の組合せが繰り返し問われます。表で対応をおさえましょう。
| 反応名 | 誘発する刺激 | 起こる反応 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 傾斜反応 | 傾斜板(バランスボード)を左右・前後に傾ける | 傾いた側と反対方向へ体幹を側屈させ、上肢を外転して調整 | 重心を支持基底面内に戻す |
| パラシュート反応 | 身体を抱えて急に下方へ動かす(落下させる) | 両下肢(立位方向なら上肢)を外転・伸展し広げる | 支持基底面を広くとって着地に備える |
| リフト反応 | 身体を急に上方へ持ち上げる | 上肢および頭部が屈曲する | 上方への急加速に対して身体を守る |
| 防御反応(立位) | 立位で後方から急に押される | 体を後方へそらしつつ両手を後方へ伸ばす。足関節底屈・足趾屈曲で床をつかむ | 転倒を防いで支える |
| 座位での防御反応 | 座位で側方・後方へ倒れそうになる | 倒れる側の上肢を伸展して手をつく(保護伸展反応) | 手をついて頭部・体幹の外傷を防ぐ |
| 眼球運動と頭部の協調 | 頭部を左右にゆっくり回旋させる | 頭の回転と逆向きにゆっくり眼球が動き、視線を保つ(前庭動眼反射) | 視野を安定させて平衡を保つ |
パラシュート反応は、身体が急に下方へ移動したときに両下肢(あるいは上肢)を外転・伸展して広げ、支持基底面を広くとる反応です。立位方向で行えば「保護伸展反応(上肢のパラシュート反応)」として、手を前方へ伸ばして着地に備えます。
平衡反応は転倒予防の中核です。高齢者・脳卒中片麻痺・パーキンソン病・小脳失調などでは平衡反応の遅延や消失が起こり、転倒リスクが高まります。