反射とは刺激に対して意識を伴わずに起こる、定型的で素早い反応のことです。その経路を反射弓といい、受容器から効果器まで5要素で構成されます。国試では膝蓋腱反射=単シナプス反射(中枢L2〜L4)、屈曲反射=多シナプスの防御反応、交叉性伸展反射=対側下肢の伸展、という対比が繰り返し問われます。
| 読み方 | はんしゃ(reflex) |
|---|---|
| 定義 | 刺激に対して意識を伴わずに起こる、定型的な反応 |
| 経路 | 反射弓=受容器→求心性ニューロン→反射中枢→遠心性ニューロン→効果器 |
| 主な中枢 | 脊髄(脊髄反射)・脳幹(姿勢反射・立ち直り反射) |
| 4つの特徴 | ①不随意(意識を伴わない)②反応パターンが一定 ③潜時が短く素早い ④閾値以上の十分な刺激で起こる |
| 代表的な脊髄反射 | 伸張反射(膝蓋腱反射)・屈曲反射(逃避反射)・交叉性伸展反射 |
| 姿勢を保つ反射 | 姿勢反射(身体の安定を自動調整)・立ち直り反射(頭→体幹→四肢の順に姿勢を戻す) |
| 国試での狙われ方 | 単シナプス反射はどれか/膝蓋腱反射の反射中枢の高位/屈曲反射と交叉性伸展反射の左右の動き |
熱いものに触れた瞬間、「熱い」と考えるより先に手が引っこみます。このように刺激に対して無意識に起こる反応が反射です。大脳で判断してから動く随意運動とちがい、反射は判断を経由しないため反応までの時間(潜時)が非常に短いのが特徴です。
反射には次の4つの共通した性質があり、そのまま正誤問題になります。
| 特徴 | 内容 | 国試での言い換え |
|---|---|---|
| ① 不随意 | 意識を伴わない・意志で止められない | 「随意的に制御できる」は誤り |
| ② 定型性 | 同じ刺激には毎回同じパターンの反応が起こる | 「反応は刺激ごとに変化する」は誤り |
| ③ 短時間性 | 潜時が短く、素早く反応する | 反応時間は随意運動より短い |
| ④ 閾値の存在 | 一定以上(閾値以上)の十分な刺激が必要 | 弱すぎる刺激では起こらない |
反射が成立するための神経経路を反射弓(はんしゃきゅう)といいます。5要素のうちどこか1か所でも障害されると、その反射は減弱または消失します。順序を問う問題が頻出なので、必ず順番で覚えてください。
| 順 | 要素 | はたらき |
|---|---|---|
| 1 | 受容器 | 刺激をキャッチする |
| 2 | 求心性ニューロン | 情報を中枢へ伝える |
| 3 | 反射中枢 | 脊髄などで情報を処理する |
| 4 | 遠心性ニューロン | 指令を効果器へ伝える |
| 5 | 効果器(筋) | 筋が収縮して反応する |
反射中枢が脊髄にある反射を脊髄反射といいます。国試では次の3つが繰り返し出題されます。刺激の種類・受容器・反応の方向をセットで押さえましょう。
| 反射 | 刺激 | 受容器 | 反応 | シナプス数 |
|---|---|---|---|---|
| 伸張反射 | 筋が急に引き伸ばされる | 筋紡錘 | 伸ばされた筋そのものが収縮 | 単シナプス(1か所) |
| 屈曲反射(逃避反射) | 痛み・熱などの侵害刺激 | 皮膚の侵害受容器 | 刺激側の肢を屈曲して引っこめる | 多シナプス |
| 交叉性伸展反射 | 片側肢への侵害刺激 | 皮膚の侵害受容器 | 対側(反対側)の肢が伸展し体を支える | 多シナプス |
伸張反射は「筋が伸ばされると、その筋が反射的に縮む」反射で、筋の長さを一定に保ち姿勢を支えます。受容器は筋紡錘です。
その代表が膝蓋腱反射。膝蓋腱を打腱器で叩くと大腿四頭筋が急に引き伸ばされ、筋紡錘が興奮 → 感覚神経 → 脊髄内でシナプス1か所だけを介して運動神経へ → 大腿四頭筋が収縮して下腿が前に振り出されます。反射中枢はL2〜L4です。
| 腱反射 | 反射中枢の高位 | 収縮する筋 |
|---|---|---|
| 上腕二頭筋反射 | C5〜C6 | 上腕二頭筋 |
| 上腕三頭筋反射 | C6〜C8 | 上腕三頭筋 |
| 膝蓋腱反射 | L2〜L4 | 大腿四頭筋 |
| アキレス腱反射 | S1〜S2 | 下腿三頭筋 |
画鋲を踏んだ場面を思い浮かべてください。踏んだ側の脚は屈曲反射で素早く引っこめられます(侵害刺激から体を守る防御反応)。しかし片脚を上げただけでは倒れてしまうため、同時に反対側の脚が伸展して全体重を支えます。これが交叉性伸展反射です。
姿勢反射は、重力に抗して身体の安定(姿勢)を自動的に保つ反射の総称です。伸びすぎた筋はゆるめ、ゆるみすぎた筋はしめる、という局所の細かい調整と、全身のバランス保持の両方を無意識に行っています。
なかでも立ち直り反射は、バランスが崩れたときに頭部→体幹→四肢の順に姿勢を正常位へ戻す反射です。頭の位置を空間で正しく保とうとするのが出発点で、中枢は主に脳幹(中脳・延髄)にあります。
| 反射 | 中枢 | はたらき |
|---|---|---|
| 姿勢反射(緊張性反射など) | 脳幹・脊髄 | 重力に抗して姿勢・筋緊張を自動調整する |
| 立ち直り反射 | 中脳を中心とした脳幹 | 崩れた姿勢を頭部→体幹→四肢の順に正常へ戻す |
| 平衡反応 | 大脳皮質を含む高位中枢 | 支持面の動揺に対しバランスを保つ最終段階 |