易感染性(いかんせんせい)とは、感染症にかかりやすく、感染が遷延化・重症化しやすい状態のことです。本来なら感染を起こさない弱い病原体(弱毒菌・条件的病原体)でも感染を起こし、治療に難渋することがあります。国家試験では原因の4分類(皮膚・粘膜/好中球/体液性免疫/細胞性免疫)と、それぞれの原因疾患をセットで覚えることが最大のポイントです。
| 読み方 | いかんせんせい |
|---|---|
| 分野 | 臨床医学総論(感染・免疫) |
| 定義 | 感染症にかかりやすく、遷延化・重症化しやすい状態 |
| 主な原因 | 皮膚・粘膜の障害/好中球の減少・機能不全/体液性免疫不全/細胞性免疫不全 |
| 生体防御機構 | 免疫系(B・Tリンパ球)・食細胞系(好中球、単球・マクロファージ)・補体系(オプソニン作用)・皮膚粘膜バリア |
| 臨床症状 | 先天性=幼小児期からの反復感染/後天性=抗菌薬でも治りにくい、真菌など弱毒菌にも感染 |
| 主な検査 | 尿検査・血液検査・免疫血清学検査・胸部X線検査・腹部エコー検査 |
| 治療 | 基礎疾患(原因疾患)の治療+無菌室などの感染予防+感受性のある抗菌薬 |
易感染性とは、感染症にかかりやすく、感染が遷延化・重症化しやすい状態を指します。単に「よく風邪をひく」という意味ではなく、生体の防御システムが低下しているために起こる病態です。
そのため治療に難渋しやすく、感染そのものが生命予後を左右することもあります。
体には病原体の侵入を防ぐ防御機構が備わっています。これらのいずれかに異常があると感染を防ぎにくくなり、易感染性となります。防御機構の異常 → 感染防御低下 → 易感染性という流れで理解しましょう。
| 防御機構 | 主な担い手 | はたらき |
|---|---|---|
| 免疫系 | Bリンパ球 | 抗体を産生する=液性免疫 |
| 免疫系 | Tリンパ球 | 感染細胞を破壊する=細胞性免疫 |
| 食細胞系 | 好中球、単球・マクロファージ | 病原体を貪食して処理する |
| 補体系 | 補体 | オプソニン作用などで細菌に目印をつけ、食細胞が食べやすくする |
| 物理的バリア | 皮膚・粘膜 | 病原体の侵入そのものを防ぐ |
易感染性の原因は大きく4つに分類されます。国試ではこの分類と代表的な原因疾患をセットで問われます。
| 分類 | 病態 | 代表的な原因・疾患 |
|---|---|---|
| ①皮膚・粘膜の障害 | バリアが壊れて病原体が侵入しやすくなる | 熱傷、外傷、外科的手術、抗癌薬/抗菌薬の使用、放射線 |
| ②好中球の減少・機能不全 | 細菌・真菌への防御が弱くなる | 白血病・再生不良性貧血などの血液疾患、低栄養、高齢、糖尿病、抗癌薬、放射線 |
| ③体液性免疫不全 | 抗体による防御が低下する | 骨髄腫、リンパ腫、低蛋白血症、副腎皮質ステロイド薬 |
| ④細胞性免疫不全 | ウイルス・真菌・日和見感染に弱くなる | AIDS、リンパ腫、SLE、悪性腫瘍、大酒家、肝硬変、高齢、低栄養、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、抗癌薬 |
易感染性の現れ方は、先天性(原発性)か後天性(続発性)かで異なります。
「反復感染・治りにくさ・弱毒菌感染」の3点が症状のキーワードです。
検査は原因検索+免疫状態の評価が目的です。感染巣を探す検査と、免疫能を評価する検査を組み合わせて行います。
| 検査 | 目的・わかること |
|---|---|
| 尿検査 | 尿路感染や全身状態の手がかりをみる |
| 血液検査 | 炎症所見や白血球数(好中球数)、貧血などを確認 |
| 免疫血清学検査 | 免疫状態や抗体の異常を調べる |
| 胸部X線検査 | 肺炎など呼吸器感染の有無を確認 |
| 腹部エコー検査 | 腹部臓器や感染の手がかりを確認 |
易感染性そのものを直接治す薬はなく、基本は原因となる基礎疾患の治療です。易感染性が強い場合は次の対応をとります。
まとめると易感染性の治療=基礎疾患の治療+感染予防+適切な抗菌薬です。