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冷え症の弁証と鍼灸治療 ― タイプ分類・陽虚と寒邪・温補の配穴ひえしょう

このページは冷え症のタイプ分類と、陽虚(虚寒)・寒邪(実寒)を中心とした東洋医学的な弁証、灸を含む温補・散寒の鍼灸治療に絞って解説します(西洋医学的な原因鑑別は「のぼせ・冷え」、更年期は「のぼせと更年期障害」の各ページが担当)。冷えは寒い環境そのものではなく、身体の特定部位に冷たさを感じる自覚症状で、女性・高齢者に多く、日常生活に支障がある場合を「冷え症」として扱います。

冷え症|冷え症 1
読み方ひえしょう(冷え症)
定義寒い環境そのものではなく、身体の特定部位(腰部・下腹部・手足など)に冷たさを感じる自覚症状。日常生活に支障がある場合を冷え症とする
好発女性に多い・高齢者に多い
西洋医学的な原因・鑑別心血管疾患・血流障害・神経障害・甲状腺機能低下症など。心不全、末梢動脈疾患、レイノー現象、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症などを鑑別
西洋医学の4タイプ下半身型・四肢末端型・内臓型・全身型
東洋医学の主な証陽虚による虚寒(慢性)/寒邪による実寒(急性)
治法陽虚=温補、寒邪=散寒・活血。灸を中心に内側から温める
よく使う経穴関元・命門・腎兪・気海・至陽(温補)/八髎穴(上髎・次髎・中髎・下髎)、足三里・三陰交・太衝(散寒・活血)
国試での狙われ方4タイプの部位、陽虚と寒邪の症状・原因の対比、温補・散寒の治法と代表経穴、要注意随伴症状(甲状腺機能低下症等の鑑別)

冷え症とは ― 環境ではなく「特定部位の冷たさを感じる自覚症状」

冷えは寒い環境そのものではなく、身体の特定部位に冷たさを感じる自覚症状です。とくに腰部・下腹部・手足に現れやすく、女性・高齢者に多いのが特徴です。日常生活に支障がある場合は「冷え症」として、原因や随伴症状を確認することが重要です。

手足の冷えに加えて、むくみ・動悸・息切れ・顔面蒼白・しびれ・痛み・体温低下などを伴う場合は要注意で、背景に基礎疾患が隠れていることがあります。心不全、末梢動脈疾患、レイノー現象、糖尿病性神経障害、甲状腺機能低下症などを鑑別する必要があります。

手足の冷えに随伴症状を伴う場合は心血管疾患・甲状腺機能低下症などを鑑別
手足の冷えに随伴症状を伴う場合は心血管疾患・甲状腺機能低下症などを鑑別

冷え症の4タイプ分類(西洋医学的分類)

冷え症は冷える部位によって大きく4つのタイプに分けられます。証立ての前提として、どの部位が冷えるかを把握することが対策の第一歩です。

内臓型は手足が温かくても身体の深部が冷える点が引っかけになりやすく、全身型は基礎代謝・深部体温の低下を背景にもち、甲状腺機能低下症などの基礎疾患が隠れていることがあります。

タイプ冷える部位・特徴背景(原因)
下半身型足先から腰までが冷える。上半身のほてりを伴うことも下肢の血流障害、自律神経の乱れ、筋肉量低下・運動不足・長時間の座位・骨盤周囲の血流低下
四肢末端型手足の先に強い冷えが現れる末梢の血行不良
内臓型手足は温かくても身体の深部(お腹・内臓)が冷える腹部膨満感・胃腸の不調・食欲不振・消化不良を伴う
全身型身体全体が冷えやすい。平熱が低め代謝低下、基礎代謝・深部体温の低下。甲状腺機能低下症などが隠れることも
下半身型・四肢末端型・内臓型・全身型の4タイプ
下半身型・四肢末端型・内臓型・全身型の4タイプ

下半身型と内臓型・全身型の詳細

下半身型は下肢の血流障害や自律神経の乱れで起こりやすく、足先・ふくらはぎ・腰部の冷えに上半身のほてりを伴うことがあります。対策は「下肢の運動」と「血行改善」が中心です。

内臓型は深部の冷え、全身型は基礎代謝・深部体温の低下に注意
内臓型は深部の冷え、全身型は基礎代謝・深部体温の低下に注意

東洋医学の弁証 ― 陽虚(虚寒)と寒邪(実寒)

東洋医学では冷えを大きく陽虚による虚寒寒邪による実寒の2つに分けて考えます。虚寒は身体を温める力(陽気)の不足による慢性の冷え、実寒は外部の寒邪や冷たい飲食物により気血の流れが妨げられて起こる急性の冷えです。

陽虚による虚寒(慢性)寒邪による実寒(急性)
成因身体を温める力(陽気)の不足外部の寒邪・冷たい飲食物などで気血の流れが妨げられる
主な症状慢性的な冷え、倦怠感・疲れやすい、軟便・下痢しやすい、頻尿・夜間尿、むくみ・顔色が悪い、腰や膝が冷えて痛い急な冷え・悪寒、冷えによる痛み、筋肉のこわばり、頭痛・肩こり、関節の痛み、手足の冷えが強い
主な原因陽気の不足、脾胃の弱り、運動不足、加齢・体力低下寒い環境(冷気)、冷たい飲食物の摂りすぎ、急激な気候変化(風・寒湿など)、長時間の冷え(座位・薄着)
治法温補(身体を温める力=陽気を補う)散寒・活血(寒邪を除き気血の流れを整える)
陽虚(虚寒)と寒邪(実寒)の症状・原因の対比
陽虚(虚寒)と寒邪(実寒)の症状・原因の対比

病態に応じた鍼灸治療と配穴

治療は西洋医学・東洋医学の両面から原因を判断します。基礎疾患が疑われる場合は医療機関での検査(血流検査・ホルモン検査・自律神経検査・血液検査など)と治療を優先します。東洋医学的には陽虚タイプは温補実寒タイプは散寒・活血を目的に経穴を使い分けます。

鍼灸治療の効果として、血流改善による手足の冷えの軽減、内臓機能を整え代謝を上げる、自律神経を調整し冷え体質を改善する、免疫力を高め体調を整える、などが挙げられます。

陽虚は関元・命門・腎兪・気海・至陽、実寒は八髎穴+足三里・三陰交・太衝
陽虚は関元・命門・腎兪・気海・至陽、実寒は八髎穴+足三里・三陰交・太衝

生活指導 ― 運動・食事・保温

冷えの予防と改善には、適度な運動と食生活の調整、衣類による保温が効果的です。鍼灸治療と併せた生活指導が再発予防の要になります。

保温は腹部・腰部・足元。厚着で汗をかきすぎると逆効果
保温は腹部・腰部・足元。厚着で汗をかきすぎると逆効果
国試ポイント
① 冷えは寒い環境そのものではなく、身体の特定部位に冷たさを感じる自覚症状。女性・高齢者に多い
② 4タイプ=下半身型・四肢末端型・内臓型・全身型。内臓型は手足が温かくても深部が冷える点が引っかけ
③ 陽虚による虚寒=陽気不足の慢性の冷え(軟便・頻尿夜間尿・腰膝が冷えて痛む)→治法は温補
④ 寒邪による実寒=外部の寒邪・冷飲食で気血が妨げられる急性の冷え(悪寒・冷えによる痛み・こわばり)→治法は散寒・活血
⑤ 温補の代表穴=関元・命門・腎兪・気海・至陽(至陽・命門は督脈の要穴で陽気を補う)
⑥ 実寒には八髎穴(上髎・次髎・中髎・下髎)で骨盤内の気血を調整。三陰交は女性の冷え、太衝はストレス性の冷えに
・ 甲状腺機能低下症など基礎疾患が隠れる全身型は自己判断せず医療機関での評価が必要
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