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鍼と血圧・心拍数のしくみ・作用機序と国試ポイントはりとけつあつ

鍼刺激を行うと動脈血圧の低下心拍数の低下が起こることが報告されています。いずれも筋への鍼刺激で起こりやすく、皮膚刺激のみでは明確な血圧低下はみられにくいのが特徴です。国試では「筋内侵害受容器→Aδ・C線維→脳幹」という共通の入力経路と、そこから先の腎交感神経抑制(血圧)GABA受容体系活性化・心臓交感神経抑制(心拍数)という2つの出力経路を区別して問われます。

鍼と血圧|鍼と血圧 1
読み方はりとけつあつ
定義鍼刺激により動脈血圧および心拍数が低下する現象と、その自律神経性の作用機序
起こりやすい刺激筋への鍼刺激(筋刺激)。皮膚刺激のみでは明確な動脈血圧低下はみられにくい
関与する受容器・神経筋内侵害受容器、求心性のAδ線維・C線維
中枢脳幹(延髄腹外側野RVLM、延髄・孤束核など)
血圧低下の機序鍼刺激→筋内侵害受容器刺激→求心性神経入力(Aδ・C線維)→中枢(脳幹)→腎交感神経活動抑制→血圧低下
心拍数低下の機序鍼刺激→筋内侵害受容器→Aδ線維・C線維→脳幹(延髄・孤束核など)→GABA受容体系活性化→心臓交感神経活動抑制→心拍数低下
関与する物質GABA(抑制性神経伝達物質)、レニン、アンジオテンシンⅡ、アルドステロン
臨床的意義心臓への負担軽減、リラックス・鎮静効果、循環機能の安定化
国試での狙われ方機序の順序、Aδ・C線維の関与、腎交感神経とRAA系の向き、副交感神経亢進も関与する点

鍼刺激による動脈血圧の低下

鍼刺激を行うと動脈血圧が低下することが報告されています。ポイントは刺激する部位です。

つまり「鍼刺激、特に筋への刺激により動脈血圧が低下する」というのが結論です。皮膚刺激だけで血圧が下がると書いてある選択肢は誤りとなります。

鍼刺激による動脈血圧の低下(筋刺激で起こりやすい)
鍼刺激による動脈血圧の低下(筋刺激で起こりやすい)

血圧低下の機序(腎を介する経路)

鍼刺激が血圧を下げる流れは、筋から中枢を介して腎交感神経を抑制するという順序で覚えます。中枢は脳幹で、延髄腹外側野(RVLM)などが関与します。求心路はAδ線維・C線維です。

順序段階内容
鍼刺激特に筋への刺激
筋内侵害受容器刺激筋の中の侵害受容器が刺激される
求心性神経入力Aδ線維・C線維が情報を伝える
中枢(脳幹)延髄腹外側野(RVLM)など
腎交感神経活動抑制腎への交感神経出力が抑えられる
血圧低下自律神経の調整により循環が安定
血圧低下の機序:鍼刺激→筋内侵害受容器→求心性神経→脳幹→腎交感神経抑制→血圧低下
血圧低下の機序:鍼刺激→筋内侵害受容器→求心性神経→脳幹→腎交感神経抑制→血圧低下

腎交感神経とRAA系(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)

なぜ腎交感神経の抑制が血圧低下につながるのかは、RAA系で説明されます。レニンは腎臓の傍糸球体細胞から分泌される酵素で、RAA系のスタート地点です。

RAA系の流れ:レニン→アンジオテンシノーゲン(肝臓で産生)→アンジオテンシンⅠ→アンジオテンシンⅡ(強力な血管収縮作用)→アルドステロン(Na・水の再吸収↑)→血圧上昇。

段階通常の働き(血圧を上げる)鍼刺激による変化(血圧を下げる)
腎交感神経活動↑活動抑制↓
レニン分泌分泌↑分泌減少↓
RAA系亢進↑抑制↓
血管血管収縮収縮が弱まる
血圧上昇↑低下↓
腎交感神経の役割とRAA系(腎交感神経→レニン→RAA系→血圧↑)
腎交感神経の役割とRAA系(腎交感神経→レニン→RAA系→血圧↑)

鍼刺激による心拍数の低下

鍼刺激により心拍数が有意に低下することが、さまざまな研究で報告されています。血圧と同様に、筋への鍼刺激で効果がみられやすいとされます。

一発暗記フレーズは「鍼刺激→自律神経調整→副交感神経↑・交感神経↓→心拍数低下」です。

鍼刺激による心拍数の低下(78bpm→62bpm)
鍼刺激による心拍数の低下(78bpm→62bpm)

心拍数低下の機序(GABAと脳幹)

心拍数低下の機序では、脳幹でのGABA受容体系の活性化が鍵になります。GABAは脳や脊髄の神経活動を抑える「ブレーキ役」の抑制性神経伝達物質です。中枢は延髄・孤束核などが挙げられます。

順序段階補足
鍼刺激筋への刺激
筋内侵害受容器筋の痛みや伸張を感知
Aδ線維・C線維求心性神経として情報を伝達
脳幹延髄・孤束核など
GABA受容体系活性化抑制性神経伝達が働く
心臓交感神経活動抑制交感神経の働きにブレーキ
心拍数低下心臓のリズムがゆるやかに
心拍数低下の機序:Aδ・C線維→脳幹→GABA受容体系活性化→心臓交感神経抑制→心拍数低下
心拍数低下の機序:Aδ・C線維→脳幹→GABA受容体系活性化→心臓交感神経抑制→心拍数低下

副交感神経の関与と自律神経調整作用

心拍数の低下には、心臓交感神経の抑制だけでなく、副交感神経の亢進も関与すると考えられています。つまり「心拍数低下=心臓交感神経抑制+副交感神経亢進のダブル効果」です。

この自律神経調整作用により、循環機能が安定します(心臓・血管のバランスが整う/急激な変動を防ぐ/リラックスしやすい状態に)。

自律神経はたらき(イメージ)心拍数血管・血圧状態
交感神経アクセル増加血管収縮・血圧上昇緊張・ストレス状態
副交感神経ブレーキ減少血管拡張・血圧下降リラックス状態
心拍数低下は心臓交感神経抑制+副交感神経亢進のダブル効果
心拍数低下は心臓交感神経抑制+副交感神経亢進のダブル効果

国家試験一発暗記まとめ

2つの経路を分けて、流れごと丸暗記するのが最短です。

国家試験一発暗記:血圧経路と心拍数経路の総まとめ
国家試験一発暗記:血圧経路と心拍数経路の総まとめ
国試ポイント
① 鍼刺激による動脈血圧低下は「筋への鍼刺激」で起こりやすく、皮膚刺激のみでは明確な低下はみられにくい。
② 血圧低下の順序は 鍼刺激→筋内侵害受容器→求心性神経(Aδ・C線維)→中枢(脳幹・RVLMなど)→腎交感神経活動抑制→血圧低下。
③ 腎交感神経↑→レニン分泌↑→RAA系↑→血管収縮→血圧上昇。鍼刺激はこれを逆向き(すべて↓)に働かせる。
④ レニンは腎臓の傍糸球体細胞から分泌される酵素でRAA系のスタート。アンジオテンシンⅡが強力な血管収縮、アルドステロンがNa・水の再吸収↑。
⑤ 心拍数低下の順序は 鍼刺激→筋内侵害受容器→Aδ・C線維→脳幹(延髄・孤束核)→GABA受容体系活性化→心臓交感神経活動抑制→心拍数低下。
⑥ 心拍数低下は交感神経抑制だけでなく副交感神経亢進も関与する「ダブル効果」。片方だけと書く選択肢は引っかけ。
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