東洋医学の脾(ひ)は、食べものを消化・吸収してエネルギーに変える「食べもの工場+エネルギー工場」のような存在です。このページでは、脾の3大機能である運化・昇清・統血、身体との対応(口に開竅・液は涎・志は思・肌肉を主る)、そして国試頻出の4つの病証(脾気虚・脾陽虚・脾虚湿盛・脾不統血)まで、スライドの内容をまとめて解説します。
| 読み方 | ひ |
|---|---|
| 分類 | 五臓(五臓六腑) |
| 主な働き | 運化を主る・昇清を主る・統血を主る |
| 開竅 | 口(口に開竅する) |
| 液 | 涎(よだれ) |
| 志 | 思(思う・考える) |
| 主る組織 | 肌肉(筋肉・肉づき) |
| 代表的な病証 | 脾気虚・脾陽虚・脾虚湿盛・脾不統血 |
| イメージ | 食べものをエネルギーに変える工場(ごはん工場の親分) |
脾は、食べものをエネルギーに変えて全身を支える大切なはたらきをもつ臓です。イメージは「食べもの工場の親分」。食べる→栄養に変える(運化)→全身へ運ぶ→上へ届ける(昇清)→血を守る(統血)という流れで、体の元気の源をつくります。
脾が元気だと、食欲があって元気いっぱいになり、考える力もアップします。国家試験キーワードは運化・昇清・統血・口・涎・思の6つです。
| キーワード | 内容 |
|---|---|
| ① 運化を主る | 食べものを消化・吸収して栄養に変える |
| ② 昇清を主る | 栄養を上へ運び、頭や全身を元気にする |
| ③ 統血を主る | 血がもれないようにして、体の中にとどめる |
| ④ 口に開竅する | 口の働きに関係している |
| ⑤ 液は涎 | 口の中をうるおす、よだれのもとになる |
| ⑥ 志は思 | 「思う・考える」ことと深く関係している |
運化とは、脾が食べものを消化・吸収して栄養(エネルギー)に変え、全身へ運ぶ働きのことです。「運」ははこぶ(栄養を全身へ届ける)、「化」はかえる(食べものを消化しエネルギーに変える)を意味し、運化=消化+吸収+運搬と覚えます。
運化の流れは、①食べる → ②消化・吸収する(化)→ ③運ぶ(運)。工場にたとえると「原料(食べもの)→加工(消化)→出荷(運ぶ)」です。
運化の働きが弱ると脾気虚となり、次のような症状が現れます。
| 栄養が届けられる先 | 役割 |
|---|---|
| 血(けつ) | 血をつくる(統血にも関係) |
| 気(エネルギー) | 元気のもと |
| 臓腑 | 各臓腑を正常に働かせる |
| 筋肉・四肢 | 体を動かす力になる |
| 皮膚・髪・爪 | うるおいやツヤのもと |
昇清(しょうせい)とは、水穀精微を上へ届ける働きです。流れは、①飲食物をとる → ②消化・吸収(運化)→ ③水穀精微になる(清)→ ④脾気が上昇(昇)して心・肺・頭へ届ける。届いた水穀精微は心・肺の働きで気血に化生し、全身に巡って体を元気にします。
昇清には2つの働きがあります。
もし昇清がうまく働かないと、水穀精微が痰湿(老廃物)になりやすくなります。昇清が弱ると「だるい・疲れやすい・元気が出ない」「ぼーっとする・集中できない」「痰湿になりやすい」といった状態になります。
国試チェック:昇=脾気の上昇運動、清=水穀精微(体に必要な栄養)。心・肺・頭を養い、内臓を支える(昇提作用)働きです。
統血(とうけつ)とは、脾が脾気の力で血を血管内に保持して、出血しないように守る働きです。統血がしっかりしていれば血は血管の中にとどまり、出血せず元気でいられますが、統血が弱ると血がもれて出血しやすくなります。
国試ワードは脾不統血(ひふとうけつ)。脾の統血作用が弱って出血しやすくなる状態のことで、特徴は次の3つです。
覚え方は「バケツに穴があくと水がもれる」イメージ。脾の統血作用が弱ると血がもれてしまいます。脾は「気・血・津液」を生み出す源であり、その中の「血」をしっかり守るのが統血を主る働きです。
| 統血が弱ると起こる出血 | 特徴 |
|---|---|
| 鼻血 | 出血しやすくなる |
| 歯ぐき出血 | ちょっとしたことで血がもれる |
| 皮下出血 | あざができる |
| 月経過多 | 経血が多い |
| 不正出血 | 少量でも続く出血 |
脾は身体のいろいろなところとつながっています。まとめると脾=口・涎・思・肌肉です。
脾の働きの流れ(イメージ)は、①食べ物をとる → ②脾が運化する(消化・吸収)→ ③水穀精微になる → ④肌肉を養う。脾の働きが弱ると「食欲がない」「考えすぎてつかれる」「筋力が落ちる」「体がだるい」といった不調が現れます。脾を元気にすると、心も体も元気になります。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 口に開竅する(かいきょうする) | 脾の働きは口にあらわれる。食欲と関係し、味覚を感じる |
| 液は涎(えん) | 口の中をうるおして消化を助ける。よだれ(涎)は脾の働きと関係 |
| 志は思(し) | 脾は「思う」ことと関係。考える力・集中力。思いすぎると脾がつかれる |
| 肌肉を主る(きにく) | 水穀精微(栄養)で肌肉(筋肉や肉づき)を養う。筋肉をつくり体を動かす力のもと |
脾が弱るといろいろな不調が出てきます。国試で問われる脾の不調パターンは次の4つ。タイプ別に覚えましょう。
脾は「気」をつくり、「血」を守り、「湿」をうまくさばく大切な働きをしています。脾が元気だと、消化吸収がしっかりできる・エネルギーが作られる・血を守れる・湿をさばける、と体も心も元気になります。
| 病証 | 病機 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 脾気虚 | 気が足りない | 疲れ・食欲低下・下痢・むくみ |
| 脾陽虚 | 陽が足りない | 冷え・水様便・元気がない・むくみ |
| 脾虚湿盛 | 湿がたまる | 重だるい・胃もたれ・ベタつき・だるい |
| 脾不統血 | 血をまとめられない | 鼻血・歯ぐき出血・月経過多・疲れやすい |