肺は「気と呼吸の司令塔」と呼ばれる五臓のひとつです。このページでは、肺の6つの生理作用(気を主る・宣発粛降を主る・水道を通調する・鼻に開竅する・皮毛を主る・志は悲(憂))を一つずつ整理し、外との境界を守るバリア機能や気・津液の流れとの関わりを解説します。さらに国試で頻出の肺気虚・肺陰虚・風寒犯肺・風熱犯肺の4大病証を、原因と主な症状で比較できるようにまとめました。
| 読み方 | はい(Lung) |
|---|---|
| 分類 | 五臓(五臓六腑) |
| 三大機能 | 呼吸+気の生成と巡り+バリア機能 |
| 気の3つのレベル | 宗気(呼吸でつくる気)/営気(脈中をめぐり栄養を届ける)/衛気(体表をめぐり外邪を防ぐ) |
| 主な生理作用 | 気を主る/宣発粛降を主る/水道を通調する/鼻に開竅する/皮毛を主る |
| 開竅(かいきょう) | 鼻 |
| 主る体表組織 | 皮毛 |
| 志(感情) | 悲(憂) |
| 代表的な病証 | 肺気虚・肺陰虚・風寒犯肺・風熱犯肺 |
肺は「呼吸器」だけの臓ではありません。呼吸+気の生成と巡り+バリア機能の3つが肺の柱です。空気を取り込んで体に酸素を届けるだけでなく、生命活動のエネルギーである「気」をつくって全身にめぐらせ、皮毛や気のバリアで外敵(ウイルス・風邪・花粉)から体を守ります。
肺の働きは「広げる・下げる・めぐらせる・守る・つなぐ・感じる」の6つに整理できます。合言葉は「肺=気・宣(宣発)・粛(粛降)・水・鼻・皮毛・悲」です。
肺のキーワードごとの働きを一覧にまとめます。国試ではこの対応関係がそのまま問われます。
| キーワード | 働き |
|---|---|
| 気を主る | 生命活動のエネルギー「気」をつくり、全身にめぐらせる |
| 宣発粛降を主る | 気や津液を外へ広げ(宣発)、気を下げて整える(粛降) |
| 水道を通調する | 水の流れをスムーズにして、体内の水液代謝をサポートする |
| 鼻に開竅する | 鼻とつながり、においや呼吸の通り道を守る |
| 皮毛を主る | 皮膚や体毛を守り、外敵の侵入を防ぐバリアになる |
| 志は悲(憂) | 感情の「悲しみ・憂うつ」と深く関わる |
肺は、生命活動のエネルギーである「気」をつくり、全身にめぐらせる働きを主ります。いわば「気の工場」で、呼吸で取り込んだきれいな空気を宗気に変えて全身へ送り出します。呼吸が浅いと元気が出ないのは、宗気が足りなくなるからです。
| 気の3つのレベル | はたらき |
|---|---|
| 宗気(そうき) | 呼吸によって肺でつくられる気。全身に送られるエネルギーの源 |
| 営気(えいき) | 脈中をめぐり、全身に栄養と潤いを届ける気 |
| 衛気(えいき) | 体表をめぐり、外邪から体を守る防衛の気(バリア気) |
気がつくられて全身に届くまでを、4つのステップで押さえます。合言葉は「呼吸 → 清気 → 宗気 → 元気!」です。
| ステップ | おきていること | ポイント |
|---|---|---|
| ① 呼吸する | 肺が呼吸をして、空気を取り込む | 新鮮な空気(清気)を体内に取り込む |
| ② 清気を取り込む | 取り込んだきれいな空気が肺に満ちる | きれいなエネルギーをしっかりキャッチ |
| ③ 宗気をつくる | 清気が肺の働きによって宗気に変わる | 宗気=エネルギーの源。全身へ送る準備完了 |
| ④ 全身の元気に | 宗気が全身に巡り、生命活動を支える | 体を動かす力・免疫力・回復力のもとになる |
覚え方の語呂合わせ:「こきゅ(呼吸)な そうき(宗気)が げんき(元気)をつくる!」
肺は「宣発(せんぱつ)=広げる」と「粛降(しゅくこう)=下げる」をコントロールして、気と津液の流れを整える“交通整理係”です。この2つのバランスがとれていると、気と水の流れがスムーズになり体は快適になります。
| 宣発(広げる) | 粛降(下げる) | |
|---|---|---|
| 方向 | 気・津液を外へ広げる | 気・津液を下へおろす |
| 働き1 | 気を体表へめぐらせ、守るバリア(衛気)を働かせる | 上逆した気を下へ下げ、呼吸をスムーズにする |
| 働き2 | 津液を体表へ広げ、肌や粘膜をうるおす | 津液を下へ流し、むくみや停滞を防ぐ |
| 働き3 | 外邪(風・寒など)を体表ではねのける | 吸った気を下へ送り込み、深い呼吸をサポートする |
| イメージ | ふわ~っと外へ広げる | す~っと下へおろす |
宣発と粛降のバランスが整っていると、呼吸がスムーズで体表をしっかりガードでき、潤いが全身に行き渡ります。逆にバランスがくずれると次のような不調が出ます。
肺は「外との境界を守る係」です。鼻・皮毛・悲(憂)・水の4つと深く関わり、これらすべてがつながって体のバランスを守っています。
| つながり | 内容 | 関係すること |
|---|---|---|
| 鼻に開竅する | 鼻は肺の窓口。呼吸の入口であり、においを感じるのも肺の働き | においを感じる/鼻づまり・鼻水/アレルギー・副鼻腔炎 |
| 皮毛を主る | 皮膚や体毛を守り、外邪(風・寒・暑・湿・燥・火など)から体を守るバリア機能 | 皮膚の状態/汗の調節/風邪をひきやすい・肌荒れ |
| 志は悲(憂) | 肺の気が弱ると、悲しみや憂う気持ちが強くなりやすい | 悲しみやすい/憂うつになりやすい/ため息が多い・気分が沈む |
| 水道を通調する | 体の水の流れをスムーズにし、全身の水分バランスを整える | むくみ/水の巡り/尿の出が悪い・水太り |
肺の不調は大きく4つに分けられます。原因(虚か外邪か、寒か熱か)で覚えると整理しやすくなります。
| 病証 | 原因 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 肺気虚(はいききょ) | エネルギー不足でパワーダウン | 息切れ・呼吸が浅い/疲れやすく、だるい/風邪をひきやすい/声が弱い・話すと疲れる/汗をかきやすい |
| 肺陰虚(はいんきょ) | うるおい不足でカラカラ | 乾いた咳が出る/のどが乾く、渇く/ほてり、手足がほてる/寝汗をかきやすい/顔や頬が赤くなる |
| 風寒犯肺(ふうかんはんぱい) | 冷たい風(寒邪)が肺をおそう | 鼻水が出る(透明でサラサラ)/咳が出る/悪寒がある、寒気がする/痰は白くてうすい/頭痛や体の痛みが出ることも |
| 風熱犯肺(ふうねつはんぱい) | 熱をもった風(熱邪)が肺をおそう | 発熱がある/咳が出る/痰が黄色く、ねばる/のどが痛い、腫れる/口が渇く、便が乾きやすい |