眼振(がんしん)とは、眼球が自分の意思とは関係なく、ピクピクと規則的・律動的に往復運動する現象です。原因は前庭・小脳・脳幹の異常が中心で、患者はめまいを訴えることが多いのが特徴。国試では「前庭・小脳・脳幹+めまい+眼振検査」をセットで押さえると一気に得点源になります。
| 読み方 | がんしん(nystagmus) |
|---|---|
| 定義 | 眼球が意思と無関係にピクピクと規則的・律動的に往復運動する現象 |
| 分類 | 方向により水平性眼振・垂直性眼振・回旋性眼振 |
| 運動の性質 | ゆっくり動く緩徐相+素早く戻る急速相の組み合わせ |
| 主な原因 | 前庭(内耳)・小脳・脳幹の異常。良性発作性頭位めまい症、メニエール病、突発性難聴、聴神経腫瘍、脊髄小脳変性症など |
| 随伴症状 | めまい(回転性めまい)、悪心・嘔吐、難聴・耳鳴、平衡障害 |
| 主な検査 | 注視眼振検査、フレンツェル眼鏡を用いた眼振検査、頭位変換眼振検査、温度眼振検査(カロリック試験) |
| 治療 | まず原因疾患を確認し、内耳性・中枢性・全身性など原因に応じた治療を行う |
眼振とは、眼球が自分の意思とは関係なく、ピクピクと規則的・律動的に往復運動する現象をいいます。単なる目のけいれん(眼瞼のピクつき)とは異なり、眼球そのものが動くのがポイントです。
眼球運動と平衡感覚は密接に関係しているため、眼振は「バランスの異常を目で見える形にしたサイン」として臨床的に非常に重要です。
眼振は前庭(内耳)・小脳・脳幹のいずれかに異常が生じることで起こります。この3つはいずれも眼球運動と平衡機能を制御する部位であり、どこが障害されても眼振として現れます。
原因は大きく末梢性(内耳・前庭由来)と中枢性(小脳・脳幹由来)に分けて整理すると、国試でも実地でも鑑別しやすくなります。
| 部位 | 代表的な原因疾患 | 特徴 |
|---|---|---|
| 前庭(内耳・末梢性) | 良性発作性頭位めまい症(BPPV)、メニエール病、突発性難聴、前庭神経炎 | 回転性めまいが強い。難聴・耳鳴を伴うことがある |
| 聴神経(末梢〜中枢移行) | 聴神経腫瘍 | 難聴・耳鳴が進行性。眼振とふらつきを伴う |
| 小脳(中枢性) | 脊髄小脳変性症、小脳梗塞・出血、小脳腫瘍 | 運動失調・構音障害・企図振戦などを伴う |
| 脳幹(中枢性) | 脳幹梗塞、多発性硬化症、腫瘍 | 脳神経症状・意識障害・麻痺を伴うことがある |
| その他・全身性 | 薬物(抗てんかん薬など)、アルコール、先天性 | 服薬歴・飲酒歴の問診が重要 |
眼振は眼球がゆっくり動いて素早く戻る異常眼球運動です。ゆっくり動く相を緩徐相、素早く戻る相を急速相といい、眼振の方向は急速相の向きで表すのが原則です。
動く方向によって次の3つに分類されます。
| 分類 | 動きの方向 | 臨床的な意味 |
|---|---|---|
| 水平性眼振 | 左右方向 | 末梢前庭障害(内耳性)で多い。最も一般的 |
| 垂直性眼振 | 上下方向 | 中枢性障害(脳幹・小脳)を示唆。要注意 |
| 回旋性眼振 | 回旋(ねじれ)方向 | 良性発作性頭位めまい症などでみられる |
眼振そのものは「眼球がピクピク動く」という他覚的所見ですが、患者が実際に訴える主訴はめまいであることが圧倒的に多いのが特徴です。
「めまいを訴える患者を診たら眼振の有無を確認する」「眼振を見たらめまいの性状と随伴症状を聞く」という双方向の視点が大切です。
眼振の種類や原因を調べるために、以下の検査を行います。国試ではこの4つの検査名がそのまま出題されます。
| 検査 | 内容 | 目的・ポイント |
|---|---|---|
| 注視眼振検査 | 指標を注視させ、正面・左右・上下の各方向で眼振の有無を観察 | 注視により中枢性眼振は増強、末梢性眼振は抑制されやすい |
| フレンツェル眼鏡を用いた眼振検査 | 凸レンズ付き眼鏡で注視を外し、眼振を観察しやすくする | 注視で抑制される末梢性眼振を検出できる |
| 頭位変換眼振検査 | 頭位・体位を急速に変換して眼振を誘発(Dix-Hallpike法など) | 良性発作性頭位めまい症(BPPV)の診断に有用 |
| 温度眼振検査(カロリック試験) | 外耳道に温水・冷水を注入して前庭を刺激し、眼振を誘発 | 左右の前庭機能を個別に評価できる。半規管麻痺の診断 |
眼振は症状であって病名ではないため、治療の原則はまず原因疾患を確認し、原因に応じた治療を行うことです。
鍼灸・あん摩マッサージ指圧の臨床では、垂直性眼振や神経症状を伴う眼振=中枢性の可能性があるため、施術より先に医療機関への受診を勧める判断が求められます。