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脱臼の病態・分類・症状・診断・整復をわかりやすく解説

脱臼とは、関節を構成する関節面どうしの接触が完全に失われた状態をいいます。接触が一部残るものは亜脱臼と呼びます。原因により外傷性脱臼と病的脱臼に分けられ、異常肢位・弾発性固定などの特有の症状を示し、早期の整復と合併損傷のチェックが重要です。

脱臼|脱臼 1
読み方だっきゅう
定義関節面の接触が完全に失われた状態
亜脱臼関節面の接触が一部残る状態
原因分類外傷性脱臼/病的脱臼
主症状異常肢位・強い痛み・変形・弾発性固定
診断症状の確認+X線検査(骨折合併の確認)
治療早期整復(必要なら観血的整復)
四肢で最多肩関節脱臼(前方脱臼が多い)
重症化しやすい股関節脱臼(後方脱臼が多い)

脱臼とは?関節面の接触が失われた状態

脱臼とは、関節を構成する骨どうし(関節面)の接触が失われた状態をいいます。正常な関節では関節面がしっかり接触していますが、脱臼するとこの接触がなくなります。

正常な関節は関節面が接触。脱臼では接触が失われ、一部残るものは亜脱臼。
正常な関節は関節面が接触。脱臼では接触が失われ、一部残るものは亜脱臼。

外傷性脱臼と病的脱臼|原因で分ける

脱臼は原因によって大きく2つに分けられます。強い外力によるものが外傷性脱臼、関節自体の脆弱化によるものが病的脱臼です。

分類原因特徴
外傷性脱臼強い外力や事故など外力によって関節が外れる
病的脱臼病気(関節自体の脆弱化)関節そのものが弱くなり外れやすくなる

脱臼の症状|異常肢位・痛み・変形・弾発性固定

脱臼では以下のような特徴的な症状がみられます。中でも弾発性固定は脱臼に特有の所見です。早期の判断と適切な処置が大切です。

症状内容
異常肢位腕や足が不自然な位置になる
痛み強い痛みで動かせない
変形関節の形が目に見えて変わる
弾発性固定動かすと元に戻るが、またハマって動かない(バネのような抵抗)
異常肢位・痛み・変形・弾発性固定が脱臼の主な症状。
異常肢位・痛み・変形・弾発性固定が脱臼の主な症状。

完全脱臼の特徴|関節窩が空虚になる

完全脱臼では、骨頭が関節窩から完全に外れてしまうため、正常な関節の輪郭が失われます。関節窩に骨頭が無く空虚(からっぽ)になるのが特徴です。

完全脱臼では骨頭が関節窩から外れ、関節窩が空虚になる。
完全脱臼では骨頭が関節窩から外れ、関節窩が空虚になる。

脱臼の診断|症状の確認とX線検査

脱臼の診断は、症状の確認とX線検査を組み合わせて行います。特に骨折の合併がないかを必ず確認することが重要です。

  1. 症状を確認…強い痛み・腫れ・変形・動かせない など
  2. X線検査を実施…関節の状態を画像で確認
  3. 骨折合併も確認…脱臼に加えて骨折がないか必ずチェック
症状の確認に加え、X線検査で骨折合併の有無も確認する。
症状の確認に加え、X線検査で骨折合併の有無も確認する。

整復後の注意点|軟部組織・血管・神経のチェック

整復の前後で、周囲の軟部組織・血管・神経に損傷がないかを確認します。見逃すと合併症につながります。

確認部位チェック項目
軟部組織腫れ・圧痛・皮膚の状態
血管拍動・色調・温度・(毛細血管)充満時間
神経しびれ・感覚・運動
整復前後で軟部組織・血管・神経の状態を確認し合併症を見逃さない。
整復前後で軟部組織・血管・神経の状態を確認し合併症を見逃さない。

早期整復が重要|時間がたつと骨頭壊死のリスク

外傷性脱臼は早期整復が重要です。脱臼した状態で時間が経過すると骨頭への血流が低下し、骨頭壊死のリスクが高まります。

脱臼の状態 → 時間の経過 → 骨頭の血流が低下 → 骨頭壊死リスク上昇、という流れになります。

時間がたつと骨頭の血流が低下し、骨頭壊死のリスクが上がる。
時間がたつと骨頭の血流が低下し、骨頭壊死のリスクが上がる。

整復は慎重に|乱暴な整復は損傷を悪化させる

整復は慎重に行う必要があります。乱暴な整復は、骨折・軟部組織・神経血管損傷を悪化させる危険があります。

徒手整復が困難な場合は、必要に応じて観血的整復(手術による整復)を行います。

乱暴な整復は損傷を悪化させる。焦らず慎重に、必要なら観血的整復。
乱暴な整復は損傷を悪化させる。焦らず慎重に、必要なら観血的整復。

肩関節脱臼|四肢の外傷性脱臼で最も多い

肩関節脱臼は、四肢の外傷性脱臼で最も多い脱臼です。転倒や外転・外旋の力が加わって起こり、前方脱臼が多いのが特徴です。

肩関節脱臼は外傷性脱臼で最多。前方脱臼が多く、転倒・外転外旋で起こる。
肩関節脱臼は外傷性脱臼で最多。前方脱臼が多く、転倒・外転外旋で起こる。

股関節脱臼|重症化しやすく後方脱臼が多い

股関節脱臼は重症化しやすい脱臼です。ダッシュボード損傷や交通事故などで、大腿骨頭が後方へ外れる後方脱臼が多くみられます。合併損傷が多く、24時間以内の整復が重要で、骨頭壊死にも注意が必要です。

項目内容
原因ダッシュボード損傷や交通事故など
脱臼方向後方脱臼が多い(大腿骨頭が後方へ)
合併損傷骨盤骨折・腹腔内臓器損傷・膝の靭帯損傷(多発しやすい)
整復24時間以内の整復が重要
注意骨頭壊死に注意
股関節脱臼は後方脱臼が多く、合併損傷や骨頭壊死に注意。
股関節脱臼は後方脱臼が多く、合併損傷や骨頭壊死に注意。
国試ポイント
① 脱臼=関節面の接触が完全に失われた状態、亜脱臼=接触が一部残る状態。
② 原因分類は外傷性脱臼(強い外力)と病的脱臼(関節自体の脆弱化)。
③ 弾発性固定は脱臼に特有の症状。ほかに異常肢位・強い痛み・変形。
④ 四肢の外傷性脱臼で最も多いのは肩関節脱臼で、前方脱臼が多い。
⑤ 股関節脱臼は後方脱臼が多く、24時間以内の整復が重要で骨頭壊死に注意。
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