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大動脈解離の病態・分類・症状・診断・治療だいどうみゃくかいり

大動脈解離は、大動脈の内膜に亀裂が入り血液が中膜に流れ込むことで血管壁が2層に裂ける疾患です。突然の激しい胸背部痛で発症し、Stanford分類のA型では緊急手術が必要になるなど、分類によって治療方針が大きく異なる点が国試でも重要視されます。

大動脈解離|大動脈解離 1
読み方だいどうみゃくかいり
分類Stanford分類(A型・B型)/ DeBakey分類(I型・II型・III型)
原因・背景因子高血圧、動脈硬化、マルファン症候群、ベーチェット病など
好発60歳以上の男性(頻度は10万人あたり約4人)
好発部位上行大動脈(全体の約50~60%)
主症状突然の激しい胸背部痛。前胸部→背部→下方へ移動する痛みが特徴
合併症ショック、心タンポナーデ、心筋・脳・腎・腸管・上下肢の虚血、突然死
検査所見X線で大動脈陰影の拡大、CTで解離腔の範囲、経食道心エコーで真腔・偽腔を確認
治療Stanford A型は緊急手術(人工血管置換術)、B型は降圧による保存的治療(目標収縮期血圧100~110mmHg)

大動脈解離とは?病態のメカニズム

大動脈の壁は内側から内膜・中膜・外膜の3層構造になっています。大動脈解離は、この内膜に亀裂(エントリー)が入り、そこから血液が中膜の中へ流れ込むことで、大動脈壁が2層に裂けてしまう状態です。このとき本来の血液が流れる部分を「真腔」、新たにできた血液の通り道を「解離腔(偽腔)」と呼びます。

内膜の亀裂から血液が中膜に流入し、大動脈壁が2層に解離する仕組み
内膜の亀裂から血液が中膜に流入し、大動脈壁が2層に解離する仕組み

疫学と発症のきっかけ

大動脈解離は60歳以上の男性に多い疾患で、頻度は10万人あたり約4人とされています。発症は内膜の亀裂をきっかけに突然起こり、そこから解離が急速に進行して激しい痛みを引き起こします。

内膜の亀裂から血液が流入し、解離が進行していく様子
内膜の亀裂から血液が流入し、解離が進行していく様子

分類が超重要:Stanford分類とDeBakey分類

大動脈解離では、解離がどこまで及んでいるかによる分類が治療方針を決める上で非常に重要です。代表的なものにStanford分類とDeBakey分類があります。ポイントは上行大動脈に解離が及んでいるかどうかです。

分類範囲
Stanford分類A型上行大動脈に及ぶもの
Stanford分類B型上行大動脈に及ばないもの
DeBakey分類I型上行大動脈から下行大動脈まで
DeBakey分類II型上行大動脈に限局
DeBakey分類III型下行大動脈に限局
Stanford分類(A型・B型)とDeBakey分類(I型・II型・III型)の範囲の違い
Stanford分類(A型・B型)とDeBakey分類(I型・II型・III型)の範囲の違い

好発部位と背景因子

大動脈解離は上行大動脈に発生することが多く、全体の約50~60%を占めるとされています。背景因子として最も重要なのは高血圧で、そのほか動脈硬化、マルファン症候群、ベーチェット病なども大動脈壁の脆弱性に関与するとされています。

上行大動脈に多く発生し、高血圧が重要な背景因子となる
上行大動脈に多く発生し、高血圧が重要な背景因子となる

症状:突然の胸背部痛とショック・臓器虚血

大動脈解離の典型的な症状は突然起こる激しい胸背部痛です。痛みは前胸部から背中へ、さらに下方へと移動していくのが特徴とされています。解離が進行すると、心筋・脳・腎・腸管・上下肢など各臓器への血流が障害され、ショックや臓器虚血を来し、命に関わる状態になることがあります。

前胸部から背部、さらに下方へ移動する突然の激しい痛み
前胸部から背部、さらに下方へ移動する突然の激しい痛み

診断:X線・CT・経食道心エコー

大動脈解離の診断には画像検査が重要です。胸部X線では大動脈陰影の拡大がみられ、造影CTでは解離腔の範囲を確認できます。また経食道心エコー(TEE)では胸部大動脈を観察し、真腔と偽腔を評価します。なお、検査中の血圧上昇には注意が必要とされています。

検査所見・特徴
X線(胸部レントゲン)大動脈陰影の拡大
CT(造影CT)解離腔の範囲を確認
経食道心エコー(TEE)胸部大動脈を観察し、真腔・偽腔を評価
X線・CT・経食道心エコーによる大動脈解離の診断
X線・CT・経食道心エコーによる大動脈解離の診断

治療と予後:A型は緊急手術、時間との勝負

治療方針はStanford分類によって大きく異なります。A型(上行大動脈に及ぶもの)は命に関わる危険が高く緊急手術(人工血管置換術)が行われます。一方B型(下行大動脈のみ)は降圧治療を中心とした保存的治療が選択され、目標収縮期血圧は100~110mmHg程度とされています。いずれの場合も血圧管理が最も重要とされています。

予後は非常に厳しく、急性A型では48時間以内に約50%が死亡するとされ、心タンポナーデや突然死のリスクもあります。自然予後はきわめて不良であり、早期対応が生死を分けるとされています。

Stanford A型は緊急手術、B型は保存的治療という治療方針の違い
Stanford A型は緊急手術、B型は保存的治療という治療方針の違い
国試ポイント
① Stanford分類は上行大動脈に解離が及ぶか(A型)否か(B型)で分け、治療方針(緊急手術か保存的治療か)を決める重要な指標である
② DeBakey分類はI型(上行~下行大動脈)・II型(上行大動脈に限局)・III型(下行大動脈に限局)の3型に分類される
③ 好発は60歳以上の男性で、高血圧が最も重要な背景因子とされる(動脈硬化・マルファン症候群・ベーチェット病も関連)
④ 症状は前胸部から背部、さらに下方へ移動する突然の激しい胸背部痛が特徴
⑤ 診断は胸部X線・造影CT・経食道心エコー(TEE)で行い、CTでは解離腔の範囲を確認する
⑥ 急性A型は48時間以内に約50%が死亡するとされ、自然予後はきわめて不良なため早期対応が予後を左右する
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