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ADL(日常生活動作)と活動 ― Barthel Index・FIM・歩行評価まで一気に整理えーでぃーえる(にちじょうせいかつどうさ)とかつどう

ADL(Activities of Daily Living=日常生活動作/日常生活活動)とは、人が毎日生活するために必要な基本動作のことで、リハビリテーションでは「筋力があるか」ではなく「実際に生活できるか」を測る最重要指標です。評価にはBarthel Index(10項目・100点満点)とFIM(18項目・7段階・126点満点)が代表的で、その土台となるのが寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行といった基本動作です。歩行は活動評価の中心であり、歩行能力の向上はADL自立・社会参加の拡大・QOL向上・転倒リスク低下に直結します。

ADL(日常生活動作)と活動|ADL(日常生活動作)と活動 1
正式名称Activities of Daily Living(ADL/日常生活動作・日常生活活動)
定義日常生活を送るために必要な基本動作。自立度を評価する指標
主なADL項目食事・更衣・入浴・排泄・移動・移乗(起居含む)
評価の目的自立度の把握/リハビリ目標設定/効果判定/介護量の判断
代表的評価法Barthel Index(BI)、FIM(機能的自立度評価法)
Barthel Index10項目・100点満点。100点=完全自立、20点以下=全介助レベル
FIM18項目(運動13+認知5)・各1〜7点・合計18〜126点
基本動作寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行(ADLの土台)
活動評価の中心歩行(安定性・歩行速度・ふらつき・バランス)
代表的検査10m歩行テスト(前後に2mの助走区間を設け10mの所要時間を計測)
ADL低下の影響QOL低下・介護負担増大・寝たきり/廃用のリスク上昇
リハビリの最終目標ADLの自立=「その人らしい生活」の実現

ADL(日常生活動作)とは何か ― 「筋力」ではなく「生活できるか」を測る

ADLとは Activities of Daily Living の略で、日本語では「日常生活動作」または「日常生活活動」と訳されます。食べる・着る・洗う・排泄する・移動するといった、人が毎日生活するうえで欠かせない基本動作のことです。

病気やケガをすると、筋力や関節機能だけでなく生活能力そのものが低下します。骨折、脳卒中、変形性膝関節症、高齢による機能低下などが代表例です。ここで重要なのは、単に「筋力があるか」ではなく「実際に生活できるか」を評価するという視点です。たとえば徒手筋力テストでMMT5(筋力正常)であっても、歩けない・トイレに行けない・食事ができないのであれば、生活の場では意味を持ちません。だからこそADL評価は、患者の生活能力を評価する最も重要な指標とされます。

ADLが低下すると、自分でできない動作が増え、QOL(生活の質)が低下し、家族や介護者の負担が増え、寝たきりや廃用症候群のリスクが高まります。だからこそ早期評価・早期介入が重要になります。

ADL項目評価される具体的内容
① 食事自分で食べ物を口に運ぶ/食事量と姿勢の維持/配膳・片付け、箸やスプーンの操作
② 更衣衣服の着脱/ボタン・ファスナーの開閉/季節や状況に合った衣服の選択
③ 入浴浴槽の出入り/洗身(体を洗う)/シャンプー・洗顔/体を拭く・整える
④ 排泄トイレへの移動/排尿・排便のコントロール/衣服の上げ下ろし/拭き取り・後始末、失禁の有無
⑤ 移乗ベッド⇔車椅子、椅子への移乗/立ち上がり・座る動作
⑥ 移動歩くこと・方向転換/段差の上り下り/屋内外の移動/杖・歩行器の使用、階段昇降
ADLは自立度を評価する指標。主な項目は食事・更衣・入浴・排泄・移動・起居移乗
ADLは自立度を評価する指標。主な項目は食事・更衣・入浴・排泄・移動・起居移乗

ADL評価の二大スケール ― Barthel Index と FIM

ADL評価の代表格が Barthel Index(BI/バーセルインデックス)FIM(Functional Independence Measure/機能的自立度評価法) です。国試ではこの2つの「項目数・満点・段階数・認知機能を含むか」が繰り返し問われます。

Barthel Index(10項目・100点満点)

10項目を100点満点で評価する、ADL評価の最も有名でシンプルな指標です。臨床や在宅で広く用いられています。評価項目は①食事 ②移乗 ③整容 ④トイレ ⑤入浴 ⑥歩行 ⑦階段 ⑧更衣 ⑨排便 ⑩排尿の10項目。認知機能は含みません(身体機能のみ)

FIM(18項目・7段階・126点満点)

18項目を1〜7点の7段階で評価する、より詳細なADL評価法です。運動項目13項目+認知項目5項目で構成され、合計点は18点(全項目1点)〜126点(全項目7点)となります。最大の特徴は身体機能だけでなく認知機能も評価できる点で、認知症や脳卒中の評価で頻出します。

比較項目Barthel Index(BI)FIM
項目数10項目18項目(運動13+認知5)
採点0〜100点(100点満点)各項目1〜7点/合計18〜126点
段階自立・部分介助・全介助など粗い区分7段階(7完全自立〜1全介助)
認知機能評価しない(身体機能のみ)評価する(理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶)
特徴簡便で臨床・在宅で広く普及詳細で介助量を鋭敏に反映。脳卒中・認知症で頻用
判定の目安100点=完全自立/60点以上=比較的自立/40点以下=重度障害/20点以下=全介助レベル点数が高いほど自立度が高い
Barthel Indexは10項目100点満点、FIMは18項目7段階で運動13+認知5項目
Barthel Indexは10項目100点満点、FIMは18項目7段階で運動13+認知5項目

FIMの7段階評価を正確に覚える

FIMは各項目を7段階で採点します。数字が大きいほど自立度が高く、小さいほど介助の必要性が高いという向きを間違えないことが最大のポイントです。

また、ADL評価で得られた「現在の状態」と「目標」を対比させることでリハビリ計画が立ちます(例:現在=起き上がり不可 → 目標=自力で起き上がる、現在=歩行不可 → 目標=杖歩行自立)。

点数段階の名称内容の目安
7点完全自立補助具なし・時間内・安全に自分で行える
6点修正自立補助具使用・時間がかかる・安全性に配慮が必要だが介助者は不要
5点監視・準備見守り、声かけ、準備のみ必要(身体接触なし)
4点最小介助患者が75%以上を自分で行う
3点中等度介助患者が50%以上75%未満を自分で行う
2点最大介助患者が25%以上50%未満を自分で行う
1点全介助患者が行うのは25%未満(ほぼ全て介助)
ADL評価は「日常生活の自立度」を評価する。Barthel IndexとFIMの点数・判定目安
ADL評価は「日常生活の自立度」を評価する。Barthel IndexとFIMの点数・判定目安

ADLの土台となる基本動作 ― 寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行

ADLの各項目を行うには、その前提となる基本動作が自立している必要があります。基本動作が自立していないと、日常生活動作(ADL)を行うことが困難になります。

この4つは「臥位 → 座位 → 立位 → 移動」という順で難度が上がる階層構造になっており、リハビリの進行段階の指標にもなります。国試では基本動作=寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行という並びをそのまま覚えてください。

基本動作と歩行評価はADLの基礎。歩行能力はADL・社会参加に直結する
基本動作と歩行評価はADLの基礎。歩行能力はADL・社会参加に直結する

歩行評価は「活動」評価の中心 ― 安定性・速度・ふらつき・バランス

歩行は、トイレに行く、食事場所へ移動する、家の中を移動する、買い物に行く、社会参加する、といったあらゆる生活行為の基本です。したがって歩行は活動評価の中心であり、身体機能だけでなく生活全体を反映する重要な指標とされます。

歩行能力が低下すると、ADL低下・外出機会の減少・転倒リスク増加・介護量の増加・社会参加の低下という連鎖が起こります。

歩行評価で確認する4つのポイント

歩行を見るだけで、麻痺の有無・筋力低下・関節痛・バランス障害・転倒リスク・生活自立度という多くの情報を総合的に推測できます。

異常歩行の例状態考えられる原因
歩隔が広い左右の足の間隔が広くなるバランスを取るために足を広げている/小脳障害/平衡障害
ふらつく体幹が左右に揺れる、酔ったような歩き方バランス能力低下/小脳障害/深部感覚障害/筋力低下
歩行速度低下歩く速度が遅くなる筋力低下・疼痛/関節可動域制限/息切れ/認知機能低下
歩行評価は活動評価の中心。安定性・速度・ふらつき・バランスを見る
歩行評価は活動評価の中心。安定性・速度・ふらつき・バランスを見る

10m歩行テストと歩行速度の目安

歩行速度の測定には10m歩行テストがよく用いられます。手順は次のとおりです。

算出された歩行速度から、その人がどの範囲まで生活できるかの目安が読み取れます。リハビリでは「現在の状態→目標」の形で活用します(例:屋内歩行のみ可能→屋外歩行・買い物可能、杖歩行→独歩自立、10m歩行時間遅延→歩行時間短縮=速度改善)。

そして歩行能力の向上は、ADLの向上(日常生活が自立)・社会参加の拡大(外出や交流が増える)・QOLの向上・転倒リスクの低下という4方向へ波及します。リハビリの最終目標は「安全に歩いて生活できること」=「その人らしい生活の自立」なのです。

歩行速度(m/秒)判定の目安
1.0以上自立した生活が可能
0.8〜1.0地域歩行が可能
0.6〜0.8屋内生活で何とか自立
0.4〜0.6介助・見守りが必要
0.4未満ほぼ歩行困難・全介助レベル
国試ポイント
① ADL=Activities of Daily Living(日常生活動作/日常生活活動)。主な項目は食事・更衣・入浴・排泄・移乗・移動。ADL評価は「筋力があるか」ではなく「実際に生活できるか」を評価する。
② Barthel Indexは【10項目・100点満点】。判定目安は100点=完全自立、60点以上=比較的自立、40点以下=重度障害、20点以下=全介助レベル。認知機能は評価しない。
③ FIMは【18項目=運動13項目+認知5項目】を【7段階】で評価し、合計【18〜126点】。FIMは身体機能に加え認知機能(理解・表出・社会的交流・問題解決・記憶)も評価できるのが最大の特徴で、認知症・脳卒中で頻出。
④ FIMの7段階は7=完全自立、6=修正自立、5=監視・準備、4=最小介助、3=中等度介助、2=最大介助、1=全介助。数字が大きいほど自立度が高い(向きの逆転が引っかけ)。
⑤ 基本動作は寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行の4つ。基本動作が自立していないとADLの遂行は困難になる。
⑥ 歩行は活動評価の中心。歩行評価では安定性・歩行速度・ふらつき・バランス能力を見る。安定性低下=転倒リスクに直結。
・ 10m歩行テストは前後に2mの助走区間を設け、中間の10mの所要時間から歩行速度(m/秒)を算出する(計測区間は10m、助走2m)。
・ 異常歩行の鑑別:歩隔が広い=小脳障害・平衡障害を疑う/ふらつき=小脳・前庭・深部感覚障害を疑う/歩行速度低下=筋力低下・疼痛・活動量低下の指標。
・ ADL低下は QOL低下・介護負担増大・寝たきり/廃用のリスク上昇につながるため、早期評価・早期介入が重要。リハビリの最終目標はADLの自立=「その人らしい生活」の実現。
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