津液(しんえき)は、体をうるおし、全身をめぐって生命活動を支える正常な体液です。このページでは、サラサラで表層をめぐる「津」とやや濃く深部を養う「液」の違い、うるおす・栄養を運ぶ・関節をなめらかにする・老廃物を排泄する・バリアという5つの作用、そして病理である津液不足(乾燥)と水滞(停滞)の見極め方までをまとめます。口・汗・尿・便・むくみ・舌などの臨床サインも整理し、国試対策に直結する内容です。
| 読み方 | しんえき |
|---|---|
| 分類 | 気血津液(生命の三宝の一つ) |
| 定義 | 体をうるおし、あらゆる場所に行きわたる正常な体液 |
| 構成 | 津(しん・サラサラ/表層)と液(えき・やや濃い/深部) |
| 主な作用 | 滋潤・運化(栄養)・関節をなめらかに・排泄・バリア保護 |
| 病理 | 津液不足(乾燥・足りない)/水滞(停滞・たまる) |
| 関係の深い臓腑 | 脾・肺(生成・運化) |
津液は、体をうるおし、あらゆる場所に行きわたる正常な体液のことです。体のすみずみまで行きわたって、うるおいを届けてくれる大切な存在で、不足しても滞っても、いろいろな不調の原因になります。
津液は、性質の異なる「津(しん)」と「液(えき)」の2つに分けられます。ひとことで覚えるなら「津=軽く広く、液=深く濃く」です。
| 区分 | 性質 | うるおす場所 | めぐり方 | 主な存在部位 | 役割 |
|---|---|---|---|---|---|
| 津(しん) | サラサラして軽い | 体の表層 | すばやくめぐる | 皮膚・筋肉・汗(涙などにもなる) | 体表をうるおす・保護する・体温調節に関わる |
| 液(えき) | やや粘りがあり濃い | 体の深い部分 | ゆるやかにめぐる | 関節・脳・骨髄/骨 | 臓腑や関節・脳などをうるおし、栄養する・血の材料にもなる |
津液には、体をうるおし、めぐらせ、守るたくさんの働きがあります。語呂合わせは「う・え・か・はい・まもる!」(うるおす・栄養を運ぶ・関節をなめらかに・排泄を助ける・守る)。
| 作用 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| ①うるおす作用(滋潤作用) | 体のすみずみをうるおし、乾燥を防ぐ | 皮膚や粘膜・口や鼻・目・内臓や組織をうるおし、乾燥トラブル(肌荒れ・便秘・咳など)を防ぐ |
| ②栄養を運ぶ作用(運化作用) | 栄養物質を全身に運び、細胞や組織を養う | 飲食物の栄養を全身に届ける・細胞の働きをサポート・エネルギー産生を助ける・体力や元気のもと |
| ③関節や筋肉をなめらかにする作用 | 関節や筋肉をうるおし、動きをスムーズにする | 関節をうるおして動きを良くする・筋肉のこわばりをやわらげる・スムーズな屈伸や運動を助ける・痛みや違和感を防ぐ |
| ④老廃物の排泄を助ける作用(代謝・排泄作用) | 体に不要なものを排泄し、体内環境をきれいに保つ | 汗・尿・便として老廃物を出す・体内の余分な熱を冷ます・むくみやだるさを防ぐ |
| ⑤バリア・保護作用 | 外からの刺激や衝撃から体を守る | 皮膚や粘膜を保護・外邪(風寒暑湿など)の侵入を防ぐ・大切な臓腑を守る・免疫機能をサポート |
津液の異常は大きく2つ、「足りない(津液不足)」か「滞る(水滞)」かを見極めます。両方が関わることもあります。
| 病理 | 状態 | こんな症状が出やすい |
|---|---|---|
| 津液不足 | 乾く・足りない | 口やのどが乾く/唇が乾燥/便がかたい/尿が少ない/皮膚の乾燥/目の乾燥/空咳が出る |
| 水滞 | たまる・巡らない | むくみ/頭重感/めまい/体が重だるい/吐き気/舌苔が厚い |
問診・望診・聞診・切診から、津液の過不足や巡りを読み取ります。観察の基本3ステップは、①訴えをよく聞く(問診)②見た目をよく観る(望診)③触れて確かめる(切診)。語呂合わせは「く・あ・に・べべ・む・た・は」(口・汗・尿・便・むくみ・舌・痰)。
| 観察部位 | みるポイント | 津液不足のサイン | 水滞のサイン |
|---|---|---|---|
| ①口・のど | 乾き・口渇の有無 | 口渇、唇の乾燥、咽の乾き | — |
| ②汗 | 汗の出かた・量・質 | 汗が多い→津液不足や気の不足(寝汗・盗汗もチェック) | — |
| ③尿 | 量・色・回数 | 少なくて濃い→津液不足 | 多くて薄い→陽虚や水滞 |
| ④便 | 便の状態 | 乾燥便・便秘→津液不足 | 水様便→脾の運化低下や水湿 |
| ⑤むくみ | むくみの有無・部位 | — | 顔・まぶた・足などにむくみ、押して戻りにくい |
| ⑥舌 | 舌の潤い・舌苔の厚さ・色 | 乾燥・紅→津液不足 | 舌苔が厚く白い→水湿 |
| ⑦痰・吐き気 | 痰や吐き気の有無 | — | 痰が多い→水滞・水湿、吐き気・ムカムカ→脾の運化低下 |
津液は「うるおいと水の巡りのバランスが命」。国試では津液不足(乾く)と水滞(たまる)の違いがよく問われます。下の比較表で整理しましょう。
| 項目 | 津液不足(乾く) | 水滞(たまる) |
|---|---|---|
| 性質 | 不足・乾燥・うるおい不足 | 停滞・水がさばけない |
| 症状 | 乾く・少ない・かたい | むくむ・重だるい・多い |
| 舌苔 | 少ない・乾燥・赤い | 厚い・白い・滑る |
| 治則 | 滋陰・養津・潤燥 | 利水・化湿・運化 |