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療養費と医療費支給制度の仕組み・支給基準・手続きと国試ポイントりょうようひといりょうひしきゅうせいど

このページは、あはき師が実務で使う「療養費」という給付の受け方——支給基準・医師の同意書・受領委任・請求書類——に絞って解説します(保険者の種類や海外の医療制度は別ページの担当です)。療養費はいったん患者が全額を支払い、あとで自己負担分を除いた額が保険者から支給される仕組みで、はり・きゅう、あん摩マッサージ指圧の施術もこの療養費の対象になることがあります。「医師の同意」と「医学的必要性」が対象・対象外を分ける決定的なポイントです。

療養費と医療費支給制度|療養費と医療費支給制度 1
読み方りょうようひ と いりょうひしきゅうせいど
定義医療機関等でいったん全額を支払い、必要書類をそろえて保険者へ請求すると、審査のうえ自己負担分を除いた金額があとで支給される制度
支給の流れ①いったん全額を支払う → ②自己負担分を除いて保険者へ請求 → ③審査のうえあとで支給
使えるケース(スライド記載)やむを得ず保険証を使わず受診したとき/医師の同意を得て治療用装具を作ったとき など
はり・きゅうの対象神経痛・リウマチ・五十肩・腰痛症・その他慢性的な疼痛。医師の同意書の交付が必要で、かつ他に適当な治療方法がないと医師が判断した場合
あん摩マッサージ指圧の対象筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮など、医師が認めた「医学的必要性」がある場合。医師の同意が必要
対象外疲労回復(仕事の疲れ・肩こりなどリラクゼーション目的)、慰安目的(気持ちよさ・癒しを目的とした利用)
受領委任制度患者に代わって施術者が保険者へ請求し、保険者が内容を確認して施術者へ支払う仕組み。患者の窓口負担が軽減される
請求に必要な書類同意書/診断書/施術録/支給申請書
その他の医療費支給制度労災保険(事業主の証明)/生活保護の医療扶助(福祉事務所の決定)/自賠責保険(自賠責保険会社への請求)/災害共済給付(加入団体への申請)
国試での狙われ方はり・きゅうの6疾患、あマ指の3病態(筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮)、同意書の要否、受領委任の当事者関係、慰安・疲労回復が対象外である点

療養費のしくみ ― いったん支払っても、あとで戻ってくる

療養費は、原則である現物給付(保険証を出して一部負担金だけ払う形)が使えないときに、費用をいったん全額支払い、あとから現金で払い戻しを受ける給付です。スライドでは3ステップで整理されています。

使えるケースとして、やむを得ず保険証を使わず受診したとき医師の同意を得て治療用装具を作ったときなどが挙げられています。あはきの施術も、この療養費の枠組みで保険の対象になることがあるのが、あはき師にとっての最重要ポイントです。

ステップ誰が何をするポイント
① いったん支払う患者が医療機関等で全額を支払う窓口では全額負担になる
② 請求必要書類をそろえて保険者へ請求自己負担分を除いた額を請求
③ 支給保険者が審査のうえ支給審査を経てあとから戻ってくる
療養費のしくみ:いったん支払う→保険者へ請求→あとで支給の3ステップ
療養費のしくみ:いったん支払う→保険者へ請求→あとで支給の3ステップ

はり・きゅうの支給基準 ― 6つの症状と医師の同意書

はり・きゅうの療養費は、慢性的な疼痛に対する治療が対象です。スライドに挙げられている対象症状の例は次のとおりです。

そして、対象になるには2つの条件がそろう必要があります。ひとつは医師による同意書の交付、もうひとつは他に適当な治療方法がないと医師が判断した場合であることです。スライドでは、この2つが「+(プラス)」で結ばれており、どちらか一方では足りないことが示されています。

はりは「ツボへの刺激で身体の不調を改善」、きゅうは「温熱刺激で血行を促進し緩和」する施術として説明されています。

要件内容
対象となる症状神経痛・リウマチ・五十肩・腰痛症・その他慢性的な疼痛
書類の要件医師による同意書の交付が必要
医学的要件他に適当な治療方法がないと医師が判断した場合
治療の性格上記のような慢性的な疼痛に対する治療が対象
はり・きゅうの支給基準:対象症状の例と、同意書+他に適当な治療手段がないこと
はり・きゅうの支給基準:対象症状の例と、同意書+他に適当な治療手段がないこと

あん摩マッサージ指圧の支給基準 ― 「医学的必要性」があるかどうか

あん摩マッサージ指圧の療養費は、医師が認めた「医学的必要性」がある場合に対象になります。はり・きゅうが「症状名(神経痛など)」で線を引くのに対し、あマ指は身体機能の状態で線を引くのが大きな違いです。

一方で、医療上の必要性がない場合は対象外です。スライドでは×印で疲労回復(仕事の疲れ・肩こりなどリラクゼーション目的)と慰安目的(気持ちよさ・癒しを目的とした利用)の2つが明示されています。あくまで医師の判断のもと、身体機能の改善や維持を目指す制度である、という位置づけです。

区分内容療養費
筋麻痺麻痺などで筋肉が動かしにくい対象
筋萎縮筋肉がやせて力が入りにくい対象
関節拘縮関節がかたくなり動きが制限される対象
疲労回復仕事の疲れ・肩こりなどリラクゼーション目的対象外
慰安目的気持ちよさ・癒しを目的とした利用対象外
あん摩マッサージ指圧の支給基準:筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮と医師の同意、対象外は疲労回復・慰安目的
あん摩マッサージ指圧の支給基準:筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮と医師の同意、対象外は疲労回復・慰安目的

受領委任制度と請求に必要な書類

受領委任制度は、患者さんの負担を軽くする仕組みです。本来、療養費は患者がいったん全額を支払って自分で保険者に請求しますが、受領委任では施術者が患者に代わって保険者へ請求し、保険者が内容を確認して施術者へ支払う流れになります。

メリットは患者の負担軽減・施術者が請求・手続きがスムーズの3点にまとめられています。

請求にあたって必要な書類は4種類です。書類がそろっていると、審査がスムーズに進みます。

書類役割
同意書施術を受けることへの同意を確認
診断書ケガや症状の内容を証明
施術録施術の内容や経過を詳しく記録
支給申請書療養費の支給を申請するための書類
受領委任制度:患者→施術者→保険者の流れ。施術者が代わりに請求し、保険者が施術者へ支払う
受領委任制度:患者→施術者→保険者の流れ。施術者が代わりに請求し、保険者が施術者へ支払う

その他の医療費支給制度と医療費控除

医療費を支える制度は健康保険だけではありません。制度によって申請方法・必要な書類・対象となる条件が異なります。不明な点は医療機関の窓口や担当窓口に相談しましょう。

また、税制面の制度として医療費控除があります。確定申告で申請し、医療費の領収書はしっかり保管生計を一にする家族の分も合算できます。対象の線引きは治療目的は対象/健康増進目的は対象外で、医療費の合計が一定額を超えた分が控除の対象になります。

制度対象手続きのポイント
労災保険仕事中や通勤中のケガや病気事業主の証明が必要
生活保護の医療扶助生活保護を受けている方の医療費を支援福祉事務所の決定が必要
自賠責保険交通事故の被害者を治療費で支援自賠責保険会社への請求
災害共済給付地震や風水害などの災害時に支給加入団体への申請が必要
医療費控除(税制)治療目的の医療費(健康増進目的は対象外)確定申告で申請、家族分も合算可
その他の医療費支給制度:労災保険・生活保護の医療扶助・自賠責保険・災害共済給付
その他の医療費支給制度:労災保険・生活保護の医療扶助・自賠責保険・災害共済給付

介護保険施設・介護報酬とあはき師

デッキの後半では、介護分野での費用の流れとあはき師の活躍の場が扱われています。医療保険の療養費とは支払いのルートが別であることを押さえておきましょう。

介護報酬のしくみは、①サービス提供事業者(施設や事業所がサービスを提供)→②介護サービスの提供(利用者に対してサービスを実施)→③介護報酬の支払い保険者=市区町村が、国が定めた基準で事業者に報酬を支払い)という流れです。介護報酬はサービス提供の対価であり、国の基準で決まる一方で地域差があるとされています。

あはき師はチームケアの一員として、機能訓練(筋力・関節の維持・向上/歩行や動作の安定化/日常生活動作の改善)と痛み管理(慢性的な痛みの緩和/QOL(生活の質)の向上/薬に頼りすぎないケア)の面で専門性を発揮します。

施設・サービス特徴
介護老人福祉施設日常生活の支援が中心の施設
介護老人保健施設在宅復帰を目指してリハビリを支援(リハビリテーション強化施設)
介護医療院医療と介護を一体的に提供する施設
通所介護・介護予防日帰りで機能訓練やレクリエーションを実施
介護報酬のしくみ:事業者がサービス提供→保険者(市区町村)が国の基準で報酬を支払う
介護報酬のしくみ:事業者がサービス提供→保険者(市区町村)が国の基準で報酬を支払う
国試ポイント
① 療養費は「いったん全額支払う→自己負担分を除いて保険者へ請求→審査のうえあとで支給」の償還払い。窓口で一部負担金だけ払う現物給付との違いを問われる。
② はり・きゅうの対象は神経痛・リウマチ・五十肩・腰痛症・その他慢性的な疼痛。『医師の同意書の交付』と『他に適当な治療方法がないと医師が判断』の2条件がそろって初めて対象になる。
③ あん摩マッサージ指圧は症状名ではなく医学的必要性(筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮)で判断。医師の同意が必要。
④ 疲労回復(肩こり・仕事の疲れなどリラクゼーション目的)と慰安目的は療養費の対象外。ここは頻出の引っかけ。
⑤ 受領委任は『施術者が患者に代わって保険者へ請求し、保険者が施術者へ支払う』。支払先が患者ではなく施術者になる点が鍵。
⑥ 請求に必要な書類は同意書・診断書・施術録・支給申請書の4つ。
・ その他の制度は手続き先で覚える:労災=事業主の証明、医療扶助=福祉事務所の決定、自賠責=自賠責保険会社への請求、災害共済給付=加入団体への申請。
・ 医療費控除は確定申告で申請。生計を一にする家族分も合算でき、治療目的は対象・健康増進目的は対象外。
・ 介護報酬は保険者(市区町村)が国の定めた基準で事業者へ支払う。地域差がある点も明記されている。
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