このページは、施術所を開設したあとに待っている「届出」と「経営管理」を扱います(開設の要件そのものや構造設備基準は「施術所開設の法律知識」、開業前の準備・リスク対策は「開業実務とリスク管理」で扱います)。国試では「どの届出を・どこへ・いつまでに」という提出先と期限の組み合わせが最頻出です。施術所開設届=開設後10日以内・保健所、開業届=事業開始から1か月以内・税務署、青色申告承認申請=開始から2か月以内の3点セットをまず固めましょう。
| 読み方 | せじゅつしょけいえいととどけでかんり |
|---|---|
| 定義 | 施術所を開設したあとに必要な行政手続き(開設届・変更届・廃止届・保険取扱届出)と、財務管理・会計、記録・保存管理、経営分析までを含む施術所運営の基盤 |
| 主な届出先 | 施術所に関する届出=保健所/税に関する届出=税務署 |
| 施術所開設届の期限 | 開設後10日以内に保健所へ提出 |
| 開設届の記載事項 | 施術所の名称、所在地、施術の種類、開設者の氏名、管理者の氏名(添付=管理者の資格証明書・平面図) |
| 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) | 事業開始から1か月以内に税務署へ提出。本人確認書類の写し・マイナンバーの記載が必要 |
| 青色申告承認申請(所得税の青色申告承認申請書) | 開始から2か月以内に提出。記載事項=納税地・氏名・屋号・開業日・提出日 |
| 青色申告の特典 | 最大65万円の特別控除(節税効果・所得控除・事業の成長に有利)。白色申告は収支内訳書のみで特別控除はなし |
| 日常の管理業務 | 毎日の記帳(売上・施術材料費・家賃・光熱費などの収入/支出)、日報による患者数・来院状況の把握、カルテ(施術記録)の管理 |
| リスク対策 | 賠償責任保険に加入し、万が一の事故に備える |
| 国試での狙われ方 | 届出先(保健所か税務署か)と期限(10日以内・1か月以内・2か月以内)の入れ替え、青色申告と白色申告の対比、控除額65万円の数値 |
施術所の経営は、感覚や気合ではなく「手続き」「お金」「記録」という3つの管理の上に成り立ちます。スライドでは施術所経営の基盤として、次の要素が挙げられています。
ここから先は、この基盤を「届出(保健所)→ 届出(税務署)→ 日々の管理 → 保険とリスク」の順に見ていきます。
| 基盤の要素 | 具体的な中身 |
|---|---|
| 行政手続き | 開設届・変更届・廃止届・保険取扱届出 |
| 各種申請・届出 | 申請書の作成と提出 |
| 財務管理・会計 | 帳簿・計算による収支の把握 |
| 記録・保存管理 | カルテなど施術記録の整理と保管 |
| 分析・改善 | 患者数・来院状況などの分析 |
| 安定した経営 | 地域に信頼される施術所づくり |
施術所を開いたら、まず保健所への施術所開設届です。期限は開設後10日以内。開設「前」ではなく開設「後」10日以内という点が引っかけになります。
届出書の記載事項は、施術所の名称/所在地/施術の種類/開設者の氏名/管理者の氏名。添付書類として管理者の資格証明書と平面図を揃えて提出し、保健所の受理印を受けます。「安心・信頼の第一歩」であり、はり・きゅう・マッサージなどの施術所を適法に運営するための出発点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出の名称 | 施術所開設届 |
| 提出先 | 保健所 |
| 期限 | 開設後10日以内 |
| 記載事項 | 施術所の名称/所在地/施術の種類/開設者の氏名/管理者の氏名 |
| 添付書類 | 管理者の資格証明書、平面図 |
| 関連する届出 | 変更届、廃止届、保険取扱届出 |
保健所の手続きとは別に、税務署への手続きが必要です。ここが最も混同されやすいところなので、提出先と期限をセットで覚えます。
税務署は申告・納税のほか相談窓口・各種手続きの窓口でもあります。
| 書類 | 提出先 | 期限 | 主な記載・添付 |
|---|---|---|---|
| 施術所開設届 | 保健所 | 開設後10日以内 | 名称・所在地・施術の種類・開設者・管理者/資格証明書・平面図 |
| 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) | 税務署 | 事業開始から1か月以内 | 本人確認書類の写し、マイナンバーの記載 |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 税務署 | 開始から2か月以内 | 納税地・氏名・屋号・開業日・提出日 |
青色申告承認申請を出しておくと、確定申告を青色申告で行えます。スライドでは青色と白色が次のように対比されています。
つまり手間はかかるが、青色申告のほうが節税にも対外的な信頼にも有利、という整理です。
| 比較項目 | 青色申告 | 白色申告 |
|---|---|---|
| 提出書類 | 青色申告決算書・帳簿 | 収支内訳書 |
| 特別控除 | 最大65万円 | なし |
| 節税効果 | 高い(所得控除あり) | 小さい |
| 帳簿付け | しっかり必要 | シンプル |
| 対外的信頼性 | 事業の成長に有利 | 低い |
| 事前手続き | 所得税の青色申告承認申請書(開始から2か月以内) | 不要 |
届出を済ませたあとの日々の管理が、このページの中心テーマです。
毎日の記帳では、日付・内容・収入・支出・残高の欄に、売上と施術材料費・家賃・光熱費などの経費を記録し、月ごとに収入・支出・利益をまとめます。領収書を整理して経費管理をすることで節税効果も上がります。
日報では、本日の患者数・新患数・リピート率・備考を記録し、患者数の推移、時間帯別の来院状況、新患とリピートの比率をグラフ化。カレンダーで傾向をチェックし、分析して改善に活かします。
カルテ(施術記録)には、患者名・施術日・施術内容・状態/所見・今後の計画を記載します。ポイントは正確・安全/整理・保管/情報保護/見やすく活用の4つ。正確な記録が信頼につながります。
| 管理の種類 | 記録する内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 記帳(帳簿) | 日付・内容・収入・支出・残高/売上・施術材料費・家賃・光熱費 | 収入と支出の把握、経費管理と節税 |
| 日報 | 患者数・新患数・リピート率・備考 | 来院状況の推移、時間帯別傾向、新患/リピート比率の分析と改善 |
| カルテ(施術記録) | 患者名・施術日・施術内容・状態/所見・今後の計画 | 正確・安全な記録、整理・保管、情報保護、活用 |
経営の収入面で欠かせないのが療養費支給制度です。はり・きゅう・マッサージの費用をサポートする仕組みで、保険で受けられる条件・必要書類・申請の流れを正しく理解する必要があります。必要書類は療養費支給申請書(申請者=療養を受けた方、氏名、振込先口座、受療内容、施術年月日、施術所名)と医師の同意書(「上記の施術は、療養上必要と認めます」/医師名・医療機関名・日付)、そして健康保険証です。
施術者が申請する場合の流れは次のとおりです。
また、万が一の事故に備えて賠償責任保険に加入します。日常のリスクに備え、施術者自身と家族・暮らしを守る安心のサポートとして位置づけられています。
| 段階 | 主体 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 患者さん | 施術を受ける |
| 2 | 施術所(柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師) | 施術・必要書類を作成し申請 |
| 3 | 健康保険組合など | 審査・支給決定 |
| 4 | 施術所 | 療養費の受け取り |