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脾陽虚とは?成因・症状・舌脈・治法をわかりやすく解説ひようきょ

このページは脾陽虚(ひようきょ)を扱います。脾陽虚は脾気虚がさらに進み、脾の陽気=体を温める力まで不足した「寒証」です。脾気虚が気の不足だけなのに対し、脾陽虚は畏寒肢冷・腹部冷感・大便溏薄・浮腫といった「冷え」の所見がはっきり加わるのが決定的な違いです。成因→病機→主症状→舌脈→治法の順に、国試の得点源をおさえていきましょう。

脾陽虚|脾陽虚 1
読み方ひようきょ(脾陽虚)
定義脾の陽気が不足し、温煦(体を温める)・運化(消化吸収)・水液代謝の力が低下した寒証。脾気虚が進行した状態
成因冷たい飲食のとりすぎ(生冷飲食)、過労・思慮過度、加齢、慢性下痢や産後の失血過多、生まれつきの陽虚体質
主症状畏寒肢冷、食欲不振・腹部冷感、大便溏薄(軟便〜下痢・完穀不化)、疲労倦怠、面色㿠白、浮腫(特に下肢・顔面)
淡白で胖大・歯痕(しこん)、白滑苔(白く薄く湿っている)
沈遅無力(ちんち・ぶりょく)=深くゆっくりで力が弱い
治法温中健脾(温補脾陽)。脾の陽気を補い体を温めて運化を助ける。あわせて温中散寒・利水消腫
国試での狙われ方「症状・舌・脈・治法」をセットで問われる。冷え所見(畏寒肢冷・大便溏薄・沈遅脈)で脾気虚や陰虚・熱証と鑑別させる

脾陽虚とは?陽気(温める力)の不足による寒証

脾陽虚は、脾の「陽気」が不足して体を温める力が弱くなった状態です。陽気には次の働きがあり、これが低下することで冷えと消化力の低下が同時に起こります。

そのため脾陽虚になると、冷えやすい・消化が弱い・水がたまりやすい・元気が出ないという状態になります。ポイントは「陽=温める力」が弱くなることで、脾気虚よりもっと「冷え」が強い状態だという点です。

脾陽虚とは?陽気=温める力が不足した状態
脾陽虚とは?陽気=温める力が不足した状態

脾陽虚の成因(4つの原因)

脾の陽気は、次のような要因が重なると不足しやすくなります。

  1. 冷たい飲食のとりすぎ(生冷飲食の過摂)…冷たい飲み物・アイス・生野菜や生もので体を冷やす習慣
  2. 過労・疲労の蓄積・思慮過度…働きすぎや無理を続けると脾が疲れ、陽気を生み出す力が低下
  3. 加齢による陽気の低下…年齢を重ねると陽気が減りやすい
  4. もともとの体質・素因…生まれつき脾の陽気が弱い体質や遺伝的素因。慢性下痢・産後の失血過多も誘因

まとめると、冷え・過労・加齢・体質が重なって陽気が不足していきます。

脾陽虚の主な4つの原因
脾陽虚の主な4つの原因

脾陽虚の主な症状

陽気不足による「冷え」と「消化力の低下」が中心です。

ポイントは「冷え」が強く、消化が弱く便がゆるく、水がたまってむくむという三本柱です。

分類代表的な症状
消化・食欲食欲不振、腹部冷感、消化不良・胃もたれ、大便溏薄、食後の腹満
冷え・だるさ畏寒肢冷、疲れやすい、面色㿠白、声が小さく元気がない
水分代謝浮腫(顔・下半身)、体が重だるい、尿清長・尿量減少
脾陽虚の症状(消化・冷え・水分代謝)
脾陽虚の症状(消化・冷え・水分代謝)

舌・脈の特徴

舌も脈も「陽気不足=冷え」のサインがそろうのが脾陽虚の特徴です。ここは国試で舌脈から証を当てさせる頻出ポイントです。

淡白・胖大・湿った白苔=陽気が乏しく水湿が停滞したサイン、沈遅無力=冷えて機能が低下したサインです。

部位所見意味
淡白・胖大・歯痕・白滑苔陽気不足+水湿の停滞
沈遅・無力冷え(寒)+気の不足
脾陽虚の舌・脈の特徴
脾陽虚の舌・脈の特徴

脾陽虚の治法(温中健脾)

治法の基本は温中健脾(おんちゅうけんぴ)=脾の陽気を補い、体を温めて運化を助けることです。スライドでは治法を4つの柱で示しています。

「温める」ことが脾陽虚改善のカギです。

脾陽虚の治法(温補脾陽・温中散寒・健脾助運・利水消腫)
脾陽虚の治法(温補脾陽・温中散寒・健脾助運・利水消腫)

脾気虚・脾虚湿盛との鑑別

脾の虚証はまぎらわしいので対比で覚えます。脾陽虚の決め手は「冷え(畏寒肢冷・下痢・浮腫)」を伴うことです。冷えが軽ければ脾気虚、重だるさ・べたつきが目立てば脾虚湿盛を疑います。

中心となる病態特徴的な所見
脾気虚気の不足のみ疲れやすい・声が小さい・食欲不振。冷えは軽い
脾陽虚気に加え陽気(温める力)も不足=寒証強い冷え(畏寒肢冷・腹部冷感)、下痢・完穀不化、浮腫、沈遅脈
脾虚湿盛脾虚に水湿の停滞が加わる重だるさ・むくみ・べたつき(湿の症状が前面)
脾気虚・脾陽虚・脾虚湿盛の鑑別ポイント
脾気虚・脾陽虚・脾虚湿盛の鑑別ポイント
国試ポイント
① 脾陽虚は脾気虚が進行し陽気(温める力)まで不足した『寒証』。冷え所見の有無が脾気虚との決定的な違い
② 主症状は畏寒肢冷・食欲不振/腹部冷感・大便溏薄(完穀不化)・浮腫・面色㿠白
③ 舌は淡白・胖大・歯痕・白滑苔、脈は沈遅無力。舌脈がそろって冷えのサインを示す
④ 治法は温中健脾(温補脾陽)。温めて陽気を補い、運化を助けるのが基本
⑤ 口渇欲飲・舌紅・無苔は陰虚や熱証の特徴で、脾陽虚では出ない(ひっかけ)
⑥ 国試は『症状・舌・脈・治法』をセットで問う。正解の組合せ=畏寒肢冷・食欲不振・大便溏薄・脈沈遅弱
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